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企業化と動画配信活用でプロレス業界1位目指す--DDTやNOAHがサイバーに参画した理由 - (page 2)

佐藤和也 (編集部)2021年03月31日 09時00分
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飛躍のための組織化、飛躍のための動画配信の取り組み

――記者会見や報道記事などを拝見すると、現状において国内におけるプロレス団体の業界大手は、新日本プロレスという認識をされていると受け取っています。その新日本プロレスも順風満帆ではなかったかと思いますが、おふたりから見て、ここまで躍進した要因に何があると思いますか。

武田氏 私は新日本プロレスに在籍したり、していなかった時期もありますけども、個人的に思うこととしては、2005年にプロレスゲームなどを手掛けるユークスに買収されたことが大きかったと思っています。ユークスは上場企業ですので、新日本プロレスも上場基準にあわせた組織に変化したんです。経営の組織化があったからこそ中長期的なビジョンを持って事業を行うことができ、資金的に厳しい状況があっても東京ドームなどの大型の興行を継続できたと思っています。

――新日本プロレスは、その後ブシロードが親会社になりましたけど、それからさまざまなメディアを活用して、プロモーションなどの宣伝に力を入れて認知も広がり、躍進した印象があります。

武田氏 それはありますが、かといって宣伝の力だけだとは思いません。企業経営者の役割として、基準となるものを示して組織を統一するというものがあるとするなら、当時木谷さん(※ブシロードで、現在は代表取締役会長の木谷高明氏)は、明確に経営基準として「プロレスが流行っている感を出す」というのはありました。

 山手線の車体広告を実施したこともありましたけど、その広告を見ることそのものよりも「新日本プロレスが広告を打っている」という漠然とした効果のほうが大きくて、それこそ流行っている感が出せていました。いきなり「売り上げを上げる」と言われてもどうしていいかわからないところがありますけど、「流行ってる感を出す」というのであれば、何かしらやりようはあって、手は打ちやすいです。わかりやすくて明確なビジョンだったと思いますし、そのことが提示されて、各部署がその目的に沿った動きをして実行できていたのも、組織化していたからだと思います。

――DDTがサイバーエージェントグループ入りして取り組んだことは、どのようなことでしょうか。

高木氏 ひとつは企業化、そして組織化するということで、目標を立ててそこに向けて遂行していくことですね。これまでは、その場の興行が盛り上がることに注力するところもありましたので、グループに入ってその体制に変えていったことがあります。あと、「ABEMA」での中継を始めるようになりましたが、このことで認知が増えたことは大きいと感じています。

 これから着手しなければいけないところとしては、自社の配信メディアである「WRESTLE UNIVERSE」を、どのように広げていくかです。サブスクリプション型のビジネスモデルは、まだわかっていないところもありますので、そこはサイバーエージェント本社とも連携しながら施策を考えていきます。今後の発展においても、WRESTLE UNIVERSEをひとつの軸にして収益を立てていくとともに、海外に広げていくうえでも必要不可欠な存在になりますので。

「WRESTLE UNIVERSE」
「WRESTLE UNIVERSE」

 新日本プロレスの躍進には、動画配信サイト「新日本プロレスワールド」の存在も大きいと思ってます。約10万人いるとされる会員の半数近くが海外からと耳にしたことがありますし、そこまで広めていったことが大きいと。本社のリソースなども活用しながら、それぐらいの規模にまで広げたいと考えています。

 国内での知名度を上げていくことに関してはABEMAの活用ですね。NOAHに関してはABEMA、DDTと東京女子プロレスの主軸はWRESTLE UNIVERSEをメインにしつつ、中継できるものはABEMAでも配信をしていきます。

――ABEMAでは、スマホ世代と呼ばれる若年層の視聴者が多いと思いますが、その影響を感じることはありますか。

高木氏 DDTにおいて影響を感じるのは、10代の入門者が増えたことです。志望動機を見ると、みんな「ABEMAで見た」と書いているんです。まだまだ不十分なところもあるかとは思いますが、若年層にフィーチャーできているのは間違いないです。

 また、会場でも若い方が増えているのも実感しています。今だとテレビでプロレスを見ようとすると深夜帯になります。なかなか若年層にはアプローチしにくいですし、特に中高生となると月額制のサービスに入ることにも敷居は高いですから。今後もABEMAもそうですし、YouTubeも活用しながらアプローチしています。

武田氏 NOAHも、ABEMAのおかげで若年層へのアプローチができていると感じています。2月に日本武道館で興行を行いましたが、ドキュメンタリーを撮影した際「ABEMAを見て、初めてNOAHの試合を見に来ました」と言ってくださる方が結構いらっしゃいました。ABEMAはスマホ基準の絵作りをしていて、いろんな面でスマホユーザーに対するアプローチができていますね。

――NOAHについて、ABEMAでの映像配信に取り組むなかで変化を感じるところはありますか。

武田氏 これまで取り組めてなかった領域なので、何もかも新鮮でもありますし、手探りなところもあります。ABEMAスタッフの仕事のスピードが早くて驚くことも多いですし、要求されることも明確で、積極的に話してくださいます。ABEMAの視聴数が上がることは、興行の数字もクオリティも上がるという相乗効果も感じているところです。

――グループ入りして、選手をはじめとした現場の変化を感じることはありますか。

高木氏 選手の意識も、少しずつ変化しているところはありますが、結構のびのびとやっている印象があります。むしろ私たちが上場企業のグループ入りするというところで、必要以上に身構えていたところもあります。DDTに男色ディーノという選手がいるのですけど、振る舞いが少しアウトになるのかなと思うところもあったのです。でも藤田から「自由にやってください」と言われたので、伸び伸びとやらせてもらってます。

武田氏 やはり選手にとって、試合を見てもらうことはモチベーションがあがる要因ですし、知名度の向上にもつながりますから、やりがいを感じています。見られる環境があって、見られれば見られるほど選手は育ちますから。

――プロレスファンというと、年齢層が高い男性のファンがメインというイメージが未だ残るところもありますが、全体的に若年層のファンも多いのでしょうか。

高木氏 業界的としても、若年層のファンが増えている実感があります。20代ぐらいの女性の方、ファミリーで見る層も増えてきていると思います。一方で、武藤選手や秋山準選手の活躍(※2月に武藤選手がNOAHのGHCヘビー級の王者に、秋山選手がDDTのKO-D無差別級の王者になったこと。あわせて同月に武藤選手がNOAHに、秋山選手がDDTに加入することも発表している)の反応を見ていると、まだまだ40代以上の層は根強いと感じています。

 ただ、そのこと自体は悪いことではないといいますか、年齢に関係なく、子どもから年配の方、男女でも変わりなく楽しめるのがプロレスの魅力だと考えています。

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