KDDIは3月25日、市街地など有人地帯の上空におけるドローンの目視外飛行(レベル4運航)の実現に向け、安全な同時飛行を実現する「KDDIスマートドローン」の管制システムを開発し、2021年度の運用開始を目指すと発表した。
同社は、ドローンが運送・監視・農業などのさまざまな分野で活躍する社会の実現に向け、4G LTEなどのモバイル通信でドローンを遠隔制御し、安全な長距離飛行を実現するプラットフォームであるKDDIスマートドローンを開発・提供している。
2022年度に政府が実現を目指す、市街地など有人地帯の上空で目視外飛行が行えるレベル4運航においては、運送・警備などさまざまな用途でドローンの運航を担う事業者が自社のドローンを管制するシステムが必要となり、同社もKDDIスマートドローンでの管制システムの実装を目指し開発を進めてきた。
同システムは、ドローンの運航事業者が保有する複数のドローンを同時に飛行させる際に、管理者がドローン同士の衝突回避などの管制を行うものとなる。KDDIスマートドローンや他の制御システムで運航する全国のドローンおよび、ヘリコプターなどの有人機の飛行情報も収集可能。これにより、たとえば事業者が配送や巡回警備などで複数のドローンを運航させている場合でも、各事業者間が連携し、互いのドローンを安全に運航できるようになる。
同社では3月7日に、パーソルプロセス&テクノロジー(P&T)とともに、兵庫県赤穂郡上郡町・たつの市、三重県志摩市、宮城県仙台市の3地域において、全9機のドローンが異なるシナリオで同時に飛行する実証実験を実施している。
同実験では、全9機のドローンが異なるシナリオで同時に飛行し、その運航情報を同システムがリアルタイムに収集。管制担当者は、同システムを用いてドローンの運航状況の管理、ドローン同士やヘリコプターの接近検知および、衝突回避など、ドローンの管制を安定して行えることを確認したという。
なお、同システムの開発および、実証実験は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から受託した「無人航空機の運航管理システム及び衝突回避技術の開発/地域特性・拡張性を考慮した運航管理システムの実証事業」の一環で実施したものとなる。
今後は、現状では整備途上となるドローン同士、ドローンと有人機での空中衝突防止に関する運用ルール(通知内容、通知方法、通知条件など)や、同システムと他事業者のドローンとの接続方法など、さまざまな課題について実証実験や事業者間の協議などを通じて解決に努めるという。
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