米国のJoe Biden政権が発表を予定している超大規模インフラ整備計画に、ガソリン車から電気自動車(EV)への乗り換えを促す目的で、数千億ドル規模の予算が盛り込まれる可能性が高いとの考えを、上院議員で院内総務を務めるChuck Schumer氏(民主党、ニューヨーク州選出)が明らかにした。つまり、2009年に行われた「Cash for Clunkers」(燃費の悪い旧式車から低燃費車への買替補助制度)に続き、エンジンからバッテリーへの動力源の転換を目的とした「Cash for Clunkers 2.0」が実施されるかもしれないということだ。
Schumer氏は、The Vergeが米国時間3月17日に公開したインタビュー記事で、同氏が2019年に提案していた買替補助制度を踏襲した計画が、Biden大統領が近く発表するインフラ法案に盛り込まれる予定だと述べた。この法案は、先ごろ成立した「American Rescue Plan Act of 2021」(2021年米国救済計画法)に盛り込まれた新型コロナウイルス対策および景気刺激策に続いて、Biden政権が優先して取り組む政策課題になるとみられる。Biden大統領は2020年の時点で、すでにSchumer氏が提唱したタイプの計画への支持を表明していた。Schumer氏によれば、この計画は、ガソリン車かディーゼル車を下取りに出して新しいEVを購入する米国人が、「相当な額」の「大幅な」割引を店頭で受けられるようにするものだという。連邦政府が負担する具体的な金額は不明だが、The Vergeによれば、対象となるEVの購入者に現在適用されている税控除額の7500ドル(約81万6000円)を上回る見込みだ。
しかも、EVを対象としたこの買替補助制度は、米国人にEVを購入してもらうことだけが目的ではない。Schumer氏は、自動車メーカーに米国内でのゼロエミッション車の製造を促すインセンティブを設けたいと考えている。実際、同氏はThe Vergeに対し、「最終的な目標は、2030年までに米国で製造されるすべての車をEVにし、2040年までに路上を走るすべての車をクリーンにすることだ」と語った。Schumer氏の提唱するこの計画には、内燃エンジンの製造を段階的に取りやめ、EVを生産するために工場や施設を改修する企業に、170億ドル(約1兆8500億円)を支給する案が盛り込まれている。これは実現にはかなりの困難を伴う課題だ。
さらにSchumer氏の計画は、充電インフラに450億ドル(約4兆9000億円)を投資するよう求めている。同氏はThe Vergeに対し、この計画は、「THRIVE Act」と組み合わせるのが最適だと語った。Schumer氏が「グリーンニューディールを現実のものにする」と評価するこの法案の狙いは、米国で再生可能エネルギーの生産量を増やすことにある。こうしたエネルギー源はEVの充電ステーションを補完し、ドライバーは化石燃料に頼ることなく、ゼロエミッション車を確実に充電することが可能になる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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