東映アニメーションとPreferred Networksは3月12日、AI技術を活用してアニメ制作を効率化すべく、PFNの深層学習による画像変換技術、セグメンテーション技術などを映像制作に活用する実験的な取り組みを共同で実施したと発表した。
今回の取り組みでは、東映アニメの新規IP研究開発チーム「PEROs」が2021年2月に公開した、佐世保市を舞台にした実験映像「URVAN(ウルヴァン)」の背景美術制作に、PFNが開発するアニメの背景美術制作支援ツール「Scenify(シーニファイ)」を活用したという。
Scenifyは、画像変換およびセグメンテーション技術を応用したアニメの背景美術制作支援ツール。風景や建造物などの実写写真を素材に、さまざまな画風の背景素材を生成できる。同ツールは、PEROsによる実験的な取り組みの一つとして、背景美術制作の支援を目的に開発され、長崎国際大学協力によるURVANの制作プロセスに初めて活用されている。
ツールは、背景美術の制作に必須となる、背景画像からキャラクターに接する部分・手前にくる部分(BOOK)を自動的に切り出す「BOOK分け」機能、画像の一部を除去した後の空白を自然に塗りつぶす「スマート塗りつぶし」機能、さらに、Scenifyをクリエイターの制作ワークフローに組み込みやすくするためのプロトタイプUIを開発している。
この作品では、実在する佐世保の風景をアニメ調・サイバーパンク調の2つの画風で表現。現地で撮影された風景写真からScenifyでアニメ調の背景素材に自動変換することで、美術クリエイターが画像の前処理工程に要する時間を従来の約1/6に短縮できたという。Scenifyは、同作品の背景美術の約2/3に使用されており、作業負担・工数の削減に寄与したという。
今後は、東映アニメにおけるアニメ作品(TVアニメーション・アニメ映画)制作にScenifyを適用することを目指し、機能開発をすすめるほか、東映アニメの伝統とPFNの最新技術の融合によるアニメ制作の革新、新たな映像表現に挑戦するとしている。
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