人工知能(AI)に関する国家安全保障委員会(NSCAI:National Security Commission on Artificial Intelligence)の新しい報告書によると、米国はAI分野における支配的な地位を奪われる危機に瀕しているという。Googleの元最高経営責任者(CEO)Eric Schmidt氏が率いる同委員会は今週、756ページに及ぶ報告書で、米国は他国に後れを取る恐れがあるとして、警鐘を鳴らした。
報告書には、「第2次世界大戦後初めて、米国の経済力と軍事力を支える技術的な優位性は危機に瀕している」と書かれている。「現在の傾向に変化がなければ、中国は今後10年のうちに、AI分野で世界のリーダーとして、権力、人材、野心を保有し、米国を超えようとしている。同時にAIは、ロシアや中国などの国が、米国社会に侵入し、データを盗み、米国の民主主義に干渉するために利用している、サイバー攻撃や偽情報拡散活動によって、脅威を深刻化させている」(同報告書)
報告書にはさらに、「AIを活用した攻撃のようなこれまでの限定的な使われ方は氷山の一角」であり、「新型コロナウイルスのパンデミックや気候変動に代表される世界的危機は、国家安全保障の捉え方を拡大し、AIを活用した革新的な解決策を見つける必要性を強く示している」としている。
Schmidt氏がNSCAIの委員長、元米国防副長官のRobert Work氏が副委員長を務めている。報告書は、AmazonのCEOに就任予定のAndy Jassy氏、OracleのCEOであるSafra Catz氏、Microsoftの最高科学責任者(CSO)Eric Horvitz氏、米連邦通信委員会(FCC)の元委員Mignon Clyburn氏、Google CloudのAI責任者Andrew Moore氏などで構成されるグループによって、大統領と議会への提言として作成された。
同委員会は、「AIと関連技術の複雑なセキュリティの課題、経済的、科学的な課題に関する戦略を構築」する技術競争力に関する審議会(Technology Competitiveness Council)や、「軍人の育成と同等に重要な目的で技術人材を育成」する新しいデジタルサービスアカデミーなどの設立を提言している。
また、マイクロチップの米国内製造を促進するための連邦政府の投資や、「連邦政府によるAIの研究開発(R&D)を拡大し、民主化するため」の投資などについても提言している。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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