ヤフーとLINEの経営統合が完了--新生ZHDが「集中領域」に掲げた4分野とは

山川晶之 (編集部)2021年03月02日 11時00分
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 ヤフーを傘下に持つZホールディングス(ZHD)とLINEは3月1日、経営統合が完了したと発表した。ヤフーとLINEは、新生ZHDのグループ会社として傘下に入る。なお、ZHDはソフトバンクとNAVERが50%ずつ出資するAホールディングスの子会社だ。

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(左から)ZHD代表取締役社長 Co-CEOの川邊健太郎氏(元ZHD代表取締役社長CEO)、同社代表取締役 Co-CEOの出澤剛氏(元LINE代表取締役社長CEO)

新生ZHDが取り組む4つの「集中領域」

 両社は、2019年11月に経営統合に関する基本合意書、同年12月に経営統合契約書、2020年8月に業務提携に関する基本合意書を締結。両社の親会社であるソフトバンクとNAVERを含む4社で統合に向けた取引を進めつつ、両社が運営する事業について協議。1年4カ月の期間を経て統合に至っている。

 ZHDグループは、今回の経営統合により、国内で200超のサービスを提供する企業体に拡大。国内総利用者数は3億超、国内総クライアント数は約1500万、自治体との総連携案件数は3000超、グループ従業員は2.3万人を抱える国内最大規模のインターネットサービス企業グループが誕生することになる。

 両社は、それぞれ重複する事業領域を持っているが、どのように整理しつつ、一方でどうシナジーを生んでいくかについては、これまで多くを語ってこなかった。今回、統合完了を皮切りに、両社の主力事業である「検索・ポータル」「広告」「メッセンジャー」を根幹領域と定め、特に社会課題が大きく、インターネットで課題解決が見込める領域「コマース」「ローカル・バーティカル」「FinTech」「社会」の4つを「集中領域」として取り組むと発表した。

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ヤフーが得意とする「検索・ポータル」、LINEが得意とする「メッセンジャー」、両社がそれぞれ提供する「広告」を根幹領域と定める

 では、4つの集中領域でどのようなビジョンを描いているのか。まずはコマースから説明する。

2020年代前半にEC物販取扱高で国内トップを目指す

 コマースは、「ソーシャルコマース」と「実店舗連携『Xショッピング』」の2サービスに注力する。前者では、「LINEギフト」と「Yahoo!ショッピング」を連携するほか、インフルエンサーによる商品紹介動画を見ながら購入するライブコマースを強化。ZHDのECサービスをベースに、LINEならではの特色をトッピングする。

 後者は、実店舗とECを連携した購買体験を提供するもの。例えば、ECで注文した商品を自宅に配送するか、帰宅時での店舗受け取り、近隣店舗から自宅への配送などを選べる。さらに、ECと実店舗の商品データを連携し、実店舗であってもダイナミックプライシングで、パーソナライズされた価格を提供する「MyPrice構想」も検討する。これに加えて、LINEとヤフーのユーザー向けロイヤリティプログラムも統合を予定するという。

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実店舗でもダイナミックプライシングで価格をパーソナライズで提供する「MyPrice構想」

 そのほか、NAVERの知見を生かし、自社ECサイトを簡単に構築できるソリューション「Smart Store Project」を2021年上半期に提供予定。これは、自社ECサイトの構築・運営や分析、接客・送客などを統合して提供するもので、中長期的には、実店舗、自社ECサイト、Yahoo!ショッピングなどのモールECサイト、集客用の各種SNS、LINE公式アカウントなどを一つの画面で一括管理できる統合型ソリューションを目指すとしている。

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NAVERの知見を生かしたEC管理ソリューション「Smart Store Project」。自社ECを構築できるサービスと称しており、BASEやSTORESに似たサービスと予想される

 こうした取り組みにより、2020年代前半には国内ECで取扱高トップを目指す。

飲食や旅行業界をDX化する「ローカル・バーティカル」

 ローカル・バーティカル領域では、飲食や旅行業界のDXを推進する。ヤフーでは、予約サイトとして「Yahoo!トラベル」や「Yahoo!ロコ」、「一休.com」「一休.comレストラン」などを提供しているが、決済やマップ、LINEのコミュニケーションといった起点から送客しつつ、AIを活用したユーザーとのマッチング精度を向上させるという。

 LINEでも新たに飲食予約サービス「LINE PLACE」を提供予定のほか、フードデリバリー「出前館」でも、デリバリーインフラをZHDグループの各サービスで活用できるよう検討を進める。

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幅広い起点ポイントから予約サイトとユーザーを高精度にマッチング可能に
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出前館の配送網をZHDの他サービスでも活用可能に

 広告では、Yahoo! JAPAN、LINE、PayPayが連携するマーケティングソリューションを提供する。例えば、Yahoo! JAPANやLINEのメディア上などで広告を配信し、特定の商品を購入したユーザーにのみ、改めてクーポンを発行してリピートを促すなど、効率的かつ継続的なアプローチを実現。これにより、リーチから認知、決済、リピートをカバーしつつ、よりパーソナライズされた情報を届けられるという。

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リーチから認知、決済、リピート(再購入)をカバーするフルファネルでの広告ソリューションを提供する

決済は「LINE Pay」を「PayPay」に統合。第3の柱に

 FinTech分野では、買う、予約する、支払うといった各サービスで実際に支払うユーザーアクションに合わせて、ローンや投資商品、保険などのニーズにあった金融商品を提案する「シナリオ金融」を拡充する。例えば、Yahoo!トラベルではキャンセル保険、ECサイトのPayPayモールではレンディングサービスの「LINE Pocket Money」、PayPayとは付与されるポイント「PayPayボーナス」を使った投資サービスなど、基本的に利用シーンに則した金融サービスの提案をメインとする。

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利用シーンに則した金融サービスを提案する

 各金融サービスは、外部パートナーとの連携で実現するもので、ヤフーとLINEそれぞれに連携するマルチパートナー戦略を執る。例えば、ヤフーは三井住友銀行をパートナーにジャパンネット銀行(4月5日よりPayPay銀行に商号変更)、LINEでは、みずほ銀行と共同でLINE Bankを提供予定だが、それぞれ独立したサービスとして運営する。

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ZHDのFinTechサービスは基本的には外部パートナーと提携するマルチパートナー戦略を執る

 決済分野では、ZHDの経営の柱である検索とコマースに次ぐ第3の柱としての成長を目指す。そのための戦略として、LINE Payの国内QR/バーコード決済を2022年4月までにPayPayに統合すべく協議を開始。これに先駆け、2021年4月下旬以降、ユーザーがQRコードを読み取る方式の店舗において、LINE PayでもPayPayのQRコードで支払いできるようになる。

 なお、LINE Pay Visaクレジットカード/プリペイドカードなどの決済手段については現時点では統合の検討はされておらず、QR/コード決済の統合が完了次第、改めて詳細を検討するようだ。また、台湾やタイなどグローバルでは引き続きLINE Payブランドを使用する。

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 こうした、社内で競合するサービスの統廃合については、LINEの生みの親でもある慎ジュンホ氏を中心とした委員会により、今後ジャッジを予定している。ただし、現時点ではLINE PayとPayPay以外のほとんどのサービスで具体的な統合案は出ておらず、基本的にはユーザーへの総リーチ数を重視した計画で進める。例えば、Yahoo!ニュースとLINEニュースでも、ユーザー層が全く異なることから、統合の予定はないとしている。

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新生ZHDの経営体制

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