では、コロナ禍でシニア世代の買い物事情はどう変わったのだろうか。三井住友カードの令和シニアのキャッシュレス事情調査(2020年11月)を見てみよう。
「ふだんの買物で一番多く利用する決済方法は?」という質問に対して、約半数の49%が「ふだんの買物でクレジットカードを一番多く使う」と回答。現金以外のキャッシュレス決済と現金決済の割合で比べると、現金派が32.6%、キャッシュレス派が67.4%であり、なんとキャッシュレス派の方が多いという結果となった。
さらに「ふだんの買物で利用する決済方法は?」という質問を複数回答可で聞くと、「交通系以外の電子マネー」を利用する人が52.5%と2人に1人以上が利用。「交通系電子マネー」を買物でも利用するという人は44.4%、「バーコード・QRコード決済」も34%の人が利用すると回答しており、キャッシュレス決済がかなり進んでいることがわかる。
オンラインショッピングをどのくらい利用しているかという質問に対しては、「月に2〜3回程度」利用が最多となった。一方「週に1回以上」利用すると答えた利用頻度が高めの人のうちキャッシュレス派は18.1%だったのに対し、現金派は10.4%と、キャッシュレス派の方がやはりオンラインショッピングを多く利用しているようだ。
「持っている携帯電話の種類は?」という質問に対して「スマートフォン」という回答は全体の75%となり、キャッシュレス派・現金派関係なく、4人中3人が「スマートフォン」を利用している。スマホの利用によって、インターネット利用が身近になった可能性が考えられる。
1年前に比べてキャッシュレス決済が増えたかという質問に対しては、「増えた」「どちらかといえば増えた」を合わせると58.8%と約6割がキャッシュレス決済が増加傾向にあると答えている。
増えた理由は「キャッシュレス決済ができる店舗が増えたから」(65.8%)が最多であり、続いて「キャッシュレス・消費者還元事業があったから」(40.6%)となった。キャッシュレス・消費者還元事業ではお得なポイント還元や割引があり、キャッシュレス決済利用を促進したようだ。また、コロナ禍で「オンラインショッピングを利用する機会が増えたから」という回答も33.6%と多かった。
「コロナで買い物が怖いから、食べ物もすべてネットショッピングにしたの。選ぶのはちょっと大変だけど、重いものを持たなくて済むし便利」と、前述の70代女性はネットショッピングが気に入っている様子だ。やはりコロナ禍はシニア世代にとってもデジタルシフトにつながったというわけだ。
コロナ禍によって世界中の人が苦しく厳しい状態とされたが、インターネットを利用することで多くの不自由が解消されたり、心の支えにもなっている。それはシニア世代にも同様であり、柔軟に利用して苦難を乗り切っているようだ。
もちろん、すべてのシニアがインターネットを使いこなせているわけではなく、「使いたいけれど使い方がわからない」という声は多く聞く。また、ネットショッピングなどに慣れていないために、消費者トラブルにつながっている面もあるようだ。子ども世代がセッティングしたり、見守ったりしてあげてほしい。
高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。
ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/
Twitter:@akiakatsuki
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