ANAで新たな航空需要を生み出す--「ドローン」と「空飛ぶクルマ」に挑む保理江氏 - (page 3)

藤井涼 (編集部) 日沼諭史2021年02月02日 09時00分
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自分から「鍵のかかっていない檻」に入り込んでいないか

——特に大企業などで新規事業に取り組んでいる人は、なかなか社内から理解を得られにくいというお話はよく聞きますが、ANAはいかがでしょう。

 実のところ、かなり応援してもらえますし、本業と兼務しているメンバーの上司も理解があります。というか、反対されて新規事業にチャレンジできない、みたいなことは極めて少ないですね。これはANAのカルチャーなのかなと思っています。ANAグループには「ANA's Way」という5つの行動指針があるのですが、そのうちの1つが「努力と挑戦」です。新しいことにチャレンジしている人をみんなで応援しよう、みたいな考え方があるのかなと。

 そもそもデジタル・デザイン・ラボはANAホールディングスの代表取締役社長である片野坂の強い意志から生まれたものですし、サントリーの「やってみなはれ」ではないですけど、以前からそういう文化が根付いていたのが大きいと思います。

 いままさに航空事業が厳しくなっているなかで、「一本足打法」ではいけないと明確に発信していますし、今回のドローンや深堀のavatarinに限らず、企業として「新しいことをやる」マインドが元から備わっているのではないか、と感じるところはありますね。

——大企業でイントレプレナーとして活躍するために、必要なものは何だと考えますか。

 「自分から鍵のかかっていない檻に入り込んでいないか」みたいなことは気をつけています。無意識のうちに「自分ってこの程度しかできないよな」と思っていないかなと。たとえば、自分が本当にやりたいことを発信するのは恥ずかしいかもしれませんが、「どうせできないし」と思い込んで檻に入ってしまうのはよくない。発信し続けていれば、巡り巡ってそれが叶ったり、誰かが助け舟を出してくれたりするものなので。

 僕の場合はデジタル・デザイン・ラボがまさにそれです。もともとは既存事業のオペレーショナルな仕事をしていましたが、たとえばBLUE WINGの事業に関わったり、自分は新しいことに興味があるんだ、ということを日頃から言っていたことで、デジタル・デザイン・ラボが立ち上がるときに「応募してみないか」という声がかかったんですよね。発信していないと、そういうチャンスは巡ってこなかっただろうなと思います。

 あとは、既存事業から新規事業に移りたいのであれば、既存の事業で圧倒的な成果を出さなきゃいけないな、とも思っています。新規事業は逃げる場所ではありません。大企業の場合でも多分にスタートアップ的な要素が必要だし、コエステの金子さんが言っていたように、誰からも後ろ指を指されないように、失敗しないようにやっていくことが大事ですよね。

 ビジョンを具体的に語っていくビジョナリーな部分も必要だと思いますが、一方で大企業の中では稟議を通し、関係する部署の方々にちゃんと根回しをして、応援してもらえるように環境を整える。そういう部分も大事だなと思っています。

——そのコエステの金子さんが保理江さんを紹介するときに「人たらし力がすごい」と言っていましたが、ご自身ではどう思っていますか(笑)。

 自分では全然わからないですよ(笑)。でも、明るくしたいですよね。せっかく一緒に仕事しているわけですから。たとえばドローンだと、万一事故を起こしたらみんな不幸になってしまう。でも、そのリスクを背負ったうえで事業に賛同してもらうためには、ビジョンに共感してもらえることも必要ですけども、「保理江となら一緒にやってもいいかな」と思ってもらえることが大事かなと。あいつが言うんなら応援してやろうかなと思われるように、楽しく元気でいようと心がけています。

 avatarinの深堀も明るいと思うんですよね。深堀は私が入社したときの、同じチームの1個上の先輩で、仕事を無茶振りするのがめちゃくちゃうまいんです(笑)。普通は仕事を振られると恨んだりすると思うんですが、みんなニコニコしながらそれに応えてしまうような、そういう天性のものがあるなと。

avatarinの代表取締役CEOである深堀氏(左)と
avatarinの代表取締役CEOである深堀氏(左)と

 そんなONE PIECEのルフィみたいな先輩を近くで見てきて、自分はそうはなれないなと思いました。代わりに、自分が大事にしているのは何事にも真面目に、誠実でいることだと思い、それを愚直に続けようと考えました。それが「人たらし」と表現されるのなら、こんなに嬉しいことはないですよね。

——ありがとうございました。最後に、保理江さんが尊敬する他社のイントレプレナーをご紹介いただけますでしょうか。

 スポーツ応援アプリの「SpoLive」の事業を立ち上げて、2020年10月にNTTコミュニケーションズからスピンアウトした岩田裕平さんです。新規事業を円滑に進めるために会社と交渉して雇用形態を変え、さらに経済産業省が手がける出向起業等創出支援事業にも採択されて、SpoLive Interactiveを設立しました。

 デザイン思考を始め理論を学びつつも、自分でコードを書いてアプリを作り、会社や行政の制度も活用したうえで、ついにビジネスとして羽ばたかせた。物静かな感じで、賢くて、かつ行動力があって、でも内にはパッションを秘めている、尊敬する友人の1人です。

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