アイ・グリッド、太陽光をAIで分析--余剰電力を有効活用する仮想発電所プロジェクト始動

 アイ・グリッド・ソリューションズは1月21日、太陽光発電における余剰電力を有効活用するため、「仮想発電所 デジタル推進プロジェクト」を発足したと発表した。非FITの再エネ電力を家庭に供給する「スマ電CO2ゼロ」を立ち上げ、脱炭素社会の実現を目指す。

「スマ電CO2ゼロ」のイメージキャラクターはのんさんが務める
「スマ電CO2ゼロ」のイメージキャラクターはのんさんが務める

 アイ・グリッド・ソリューションズは、太陽光発電によるVPP(バーチャル. パワープラント)事業をグループ会社のVPP Japanが展開。太陽光発電設備の設置、運用などを手掛けており、2020年末時点で、稼働施設は110、2万3000kWの出力規模を誇る。

 スーパーマーケットなどの商業施設に太陽光パネルを設置し、発電しており、発電された電力を「送電網」に直接送電するFIT制度利用の売電モデルではなく、発電された電力を、「施設」に直接送電するオフグリッドモデルを採用していることが特徴だ。

FIT制度利用の売電モデルとオフグリッドモデルの違い
FIT制度利用の売電モデルとオフグリッドモデルの違い

 スマ電CO2ゼロは、化石電源に再生可能エネルギー指定の非化石証書を組み合わせ、実質的に再生可能エネルギー比率100%かつ、CO2排出量ゼロの電気を提供する仕組み。VPPの余剰電力を一般家庭に供給することで、非FITの再生可能エネルギーを家庭までつなげる。基本料金なしの、電気を使った分だけ支払う料金体系を採用。また、申込手数料や解約手数料もかからないため、導入のしやすさを打ち出す。1月21日から3月31日までは、スマ電CO2ゼロプラン新規申し込みで初月の電気料金が無料になるキャンペーンも実施する。

 太陽光エネルギーの供給は、天候や気候に左右されやすいが、アイ・グリッド・ソリューションズでは、余剰電力予測の分析、研究を担う「アイ・グリッド・ラボ」を設立し、AIやIoTなどの最先端技術を取り入れた余剰電力予測モデルを実用化。将来的には、地域内での再生可能エネルギーを、商業施設や家庭で融通しあうことで、系統負担の軽減を目指す。

「スマ電CO2ゼロ」の仕組み
「スマ電CO2ゼロ」の仕組み
仮想発電所デジタル推進プロジェクトの目的は、「Renewable」再生可能エネルギー、「Economical」経済的、「Aggregate」分散集約型、「Local」地域循環で、真の新しい電力プラットフォームを構築し、脱炭素を実現すること。各頭文字をとり、「R・E・A・L New Energy」と名付ける
仮想発電所デジタル推進プロジェクトの目的は、「Renewable」再生可能エネルギー、「Economical」経済的、「Aggregate」分散集約型、「Local」地域循環で、真の新しい電力プラットフォームを構築し、脱炭素を実現すること。各頭文字をとり、「R・E・A・L New Energy」と名付ける

 アイ・グリッド・ソリューションズ 常務取締役の秋田智一氏は「スマ電CO2ゼロは2021年内に1万世帯への普及を目標にしている。余剰電力だけで賄えない部分は、一部非化石証書を組み合わせる。現時点では余剰電力が出ないように、太陽光パネルの数を抑えるなどして設備を作っているが、今後は余剰電力が吸収できるという前提に立ち、設置している場所を増やしている。この取り組みが進めば、10万世帯分の余剰電力を生み出せると考えている」とコメントした。

 太陽光パネルの設置場所については「今後は、物流施設の屋根などへも設置を広げ、余剰比率をあげいきたい。物流施設は屋根面積が広いが、施設内で使用する電力が少なく、より余剰量が生まれてくると考えている。発電量に関しては、天候や気候、建物の状況、パネルの故障といったことも加味して予測していく。過去データを学習させ、未来を予測することで、精緻な予測ができる技術を開発している」(アイ・グリッド・ラボ 取締役CTOの岩崎哲氏)と自信を見せた。

アイ・グリッド・ソリューションズ 常務取締役の秋田智一氏(中央)、アイ・グリッド・ラボ 取締役CTOの岩崎哲氏(右)、ゲストとして登場したアビームコンサルティング ディレクターの山本英夫氏(左)
アイ・グリッド・ソリューションズ 常務取締役の秋田智一氏(中央)、アイ・グリッド・ラボ 取締役CTOの岩崎哲氏(右)、ゲストとして登場したアビームコンサルティング ディレクターの山本英夫氏(左)

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