アドビは12月21日、動画編集ソフト「Premiere Pro」、「Premiere Rush」、音声編集ソフト「Audition」について、「Apple M1」にネイティブで対応するパブリックベータ版(英語のみ)の提供を開始した。
今回のベータ版には、コアとなる編集機能のほか、H.264、HEVC、ProResなどのコーデックをサポート。Apple M1のネイティブ対応は段階的に提供する予定で、特定の機能のパフォーマンス検証が完了し次第、新しいコンポーネントとして順次追加する予定。同社のAI「Adobe Sensei」を使ったシーン編集の検出などの機能は、Apple M1チップセットに搭載された専用の機械学習をサポートすることでパフォーマンスが向上。「Rosetta 2」で動作する現行Premiere Proでも、速度の向上を確認したという。
Intelプロセッサを搭載したMacBook Pro 13インチとM1を搭載した同モデルでのエンコード比較では、α7S IIIの21秒のフッテージ(4K/60fps、10bit 4:2:2)において、66秒から28秒に短縮。DJI Osmoの23秒フッテージ(4K/30fps、4:2:0 8bit)では33秒から16秒、ProRes 422HQの30秒フッテージ(4K/24fps)では、36秒から17秒と時間が半減している。これは、Intelコアを搭載したMacBook Pro 16インチモデルに肉薄するスコアとなる(それぞれ16秒、12秒、15秒)。
なお、M1対応のベータ版には、新しいキャプションワークフローの最新ビルドを内蔵。プロジェクトファイル形式のアップグレードが必要であり、ベータ版のテスト用に現在のプロジェクトのコピーを作成しておくことで、現在進行中の制作作業の互換性の問題を回避できるとしている。また、Transmitリファレンスモニタリングハードウェア、プラグイン、拡張パネル、コントロールサーフェスなどのサードパーティ製連携機能も制限されている。
そのほか、Rushのベータ版は、編集機能やH.264をサポート。Rushの内蔵ライブラリからタイトルやオーディオを追加し、Apple M1デバイス上でプロジェクトを作成して、動画をローカルに書き出す機能が利用可能。追加フォーマットのサポート、デバイス間でのプロジェクトの同期、SNSへの投稿は、将来のベータ版で導入される予定という。また、Auditionのベータ版では、ほぼすべてのオーディオ編集機能を内蔵するものの、ビデオ再生、拡張パネル、サードパーティ製のフォーマットや統合機能はまだサポートされていないという。
同社では、今後もパブリックベータ期間中にApple M1へのパフォーマンス最適化を進めていく予定としている。
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