Amazonは、3000基超の衛星でブロードバンドの提供を目指す計画「Project Kuiper」で利用するエンドユーザー端末のデザインを発表した。大きな特徴として、低価格かつ小型であることを挙げている。
ブロードバンドを提供する通信衛星群「Starlink」を開発しているSpaceXの最高経営責任者(CEO)Elon Musk氏は5月、消費者が利用するエンドユーザー端末を手頃な価格にすることこそが最大の課題だと語っていた。Starlinkの端末が直径48cmであるのに対し、Amazonのプロトタイプ版フェーズドアレイ端末の直径はわずか30cmで、Amazonは「従来型のアンテナのデザインより小さくて軽い」とアピールしている。
「サービスが全く、あるいは十分に行き届いていない地域に変化を起こしたければ、顧客にとって理に適った価格でサービスを提供する必要がある」と、Amazonは述べている。
「この単純な事実から、Kuiperの基本理念の1つが生まれた。顧客向けの手頃な価格の端末を生産することを可能にする、軽量で小型のフェーズドアレイアンテナを発明することだ。これほど小さなフォームファクターで、このような速度とパフォーマンスを実現できるのは驚くべきことだ」(同社)
Amazonは、端末の小型化と軽量化により、生産コストを「1桁」減らせると見込んでいる。
プロトタイプの速度は最大400Mbpsで、同社は今後これをさらに高速化できると約束している。
SpaceXは、Starlink衛星群60基を一部再利用可能な独自のロケット「Falcon 9」で打ち上げているが、Amazonは、CEOのJeff Bezos氏が宇宙関連企業Blue Originを所有しているにもかかわらず、打ち上げサービスを提供する複数の企業を利用する計画だ。
Amazonでデバイスおよびサービス担当シニアバイスプレジデントを務めるDavid Limp氏はTechCrunchの取材に対し、「打ち上げは誰がやってもいい」と述べ、「ロケットを持っている人を知っていたら、連絡してほしい」とした。
Blue Originは10月、「New Shepard」ロケットの13回目の打ち上げを行っている。
「今こそ衛星群を打ち上げるべき時だとわれわれが考えた理由の1つは、打ち上げ産業に活気があるからだ」(Limp氏)
Amazonのアンテナは、高度3万5786kmで地球を周回している静止軌道(GEO)衛星から、4K画質の映像をストリーム送信できる。
米連邦通信委員会(FCC)が承認した計画案によると、Amazonは2026年7月30日までに衛星群の半数を打ち上げて運用し、その後2029年7月30日までに残りの衛星を打ち上げる必要がある。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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