INDUSTRIAL-Xとシェアエックスは12月11日、オンラインカンファレンス「Conference X〜コロナ禍を生き抜く『クロス』戦略と最新事例」を開催した。コロナ禍において企業やビジネスパーソンが持続的成功を得るためのカギを披露するイベントである。
ここでは、他社とのアライアンス(提携)に生じている変化に焦点を当てたセッション「Alliance Transformation」の概要を紹介する。
まず、ファシリテーターを務めるシェアエックス代表取締役の中川亮氏が、コロナ禍におけるアライアンス戦略を尋ねた。
パネリストの1人であるSun Asterisk代表取締役の小林泰平氏は、「当然加速させる。われわれの強みは多くのテック人材。スタートアップ中心だが、これまで300事業ほど支援してきた。斜陽産業とテクノロジーを掛け合わせるクロステックの話も出ているが、(斜陽産業は)社長の『デジタル企業にアップデートするぞ』の一声で変わる。たとえば、野球用品を扱う企業は全国の野球部につながっており、各部の課題を調査したところ、紙のスコアブックだった。貴重なデータを活用できていないので、この点をビジネスにつなげていきたい」と取り組みの一部を説明した。
単純にビジネスとテクノロジーを掛け合わせるのではなく、既存資産とテクノロジーを組み合わせると何ができるのか、という視点が重要だと小林氏は語る。
AnyMind Group代表取締役CEOの十河宏輔氏も、「われわれも同じ。3月にM&Aでインドに進出したが、(コロナ禍で渡航できないため)オンラインでPMI(経営統合)を実施している。当然、直接会った方が効果的だが、事前に相手とゴール設定を終えていたため、計画に沿って淡々と進められた。オンラインだからこそコミュニケーションが重要で、先週末も役員メンバーがオンラインで集まって、一両日のオンライン合宿を行っている」とコメントした。
パネリストに対して中川氏が、Reid Hoffman氏著「ALLIANCE」の内容を引用してアライアンスに必要な人材を尋ねると、グロービス・キャピタル・パートナーズ シニアアソシエイトの野本遼平氏は、「複数あるが、大事なのは『可愛がられる力』。アライアンスの種類によって異なるが、各部署が関わり、自身が知らないトピックにも関与しなければならない。そうなると(相手に)教えてもらうしかない。後は気合いでなんとかする(笑)」と考えを述べた。
続けて十河氏も、「『巻き込み力』は大事。自身でビジネスを作っていく人でなければ難しい」とコメント。小林氏は「常識は偏見の塊ではないが、視野が狭くなる。柔軟というか『白い人』がいい」と語った。
人材紹介事業などを手がけるmorich代表取締役 兼 All Rounder Agentの森本千賀子氏は、「私の古巣であるリクルート創業者の江副さん(故・江副浩正氏)と異動の件でぶつかったとき、『創という漢字の意味を考えてごらん』と言われて調べたところ、『壊す』という意味があった。多分、新しいものを作り出すには過去の成功体験も壊せ、ということに気付いてほしかったのだろう。理不尽に思えた異動も自身の成長機会だった」と自らの経験を振り返った。
このほかセッションの後半で、中川氏がオープンイノベーションをテーマに掲げると、各パネリストは必要な要素や解釈などを述べていたが、特に印象的だったのが小林氏の発言だ。同氏は大企業とスタートアップの組み合わせなどに触れつつ、「ただ、お金をばらまいてアクセラレータープログラムや、ピッチイベントを実施するのは本当に止めた方がいい」と指摘し、現状とは異なる手法でオープンイノベーションについて模索していくべきだと主張した。
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