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ニューノーマルがIDパワーをさらに後押しする

上床 光信(KADOKAWA GameLinkage マーケティングセクション マネージャー)2020年12月11日 16時00分
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ゲームはニューノーマル時代の受け皿

 2020年は、社会を大きく変えてしまった年として後世に記憶されるはずです。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるグローバル規模の禍難は、「ニューノーマル」なる言葉を一般化してしまいました。もともとは、世界金融危機が起こった際にビジネス用語として一部の人々の間で使われてきた言葉です。

 コロナ収束の目処が立たない今、ウィズ・コロナという言葉に代表されるように、ここしばらくは、COVID-19と付き合っていく生活を強いられるという状況です。

 今までに無い生活が常態化される。まさに「ニューノーマル」です。そんな中、ゲーム業界においては大きく業績を伸ばしたところが多かったのも事実。巣篭もりによるステイホームは人々をゲームへと導いたようです。ただ家から出られないという理由で、消去法的にゲームをしていただけでは無いようです。

 今では多くのオンラインゲームにSNSのようなコミュニケーション機能も付いており、同じゲームをプレイするもの同士がやり取りをしています。ソーシャル・ディスタンスや、ステイホームが人との関わりを渇望させる環境を作る中、ゲームによって、同好の士のコミュニティーを形成しているのです。

 COVID-19を常に意識し続けないといけないニューノーマルの時代において、ゲームそのもののチャット機能や、ゲーム関連のSNSによってコミュニケーションをとることができるのだと、人々は気がついたのです。

 ゲームを題材としたコミュニケーションの方が、既存の方法より楽しい。ゲーム仲間とのコミュニケーションが自分にフィットすると感じた人は、これからもそれを続けていくと考えていいでしょう。

 コミュニケーションと、エンタテインメントの両面において、ゲームはニューノーマル時代の受け皿となる可能性が高いのです。

クラウドゲーム時代の本質は「ID争奪戦」

 年末のゲーム業界においては、いよいよ発売を迎えるプレイステーション5とXboxSeriesXが話題の中心でしょう。全世界において、プレイステーション5もXbox SeriesXも両方売れると思います。

 しかし、どちらが何台売れたか以上に注目すべきは、“Xbox GamePass”によるゲームサービスや、PlayStationPlusや、PlayStationNowなどのゲームサービスの利用者の数だと考えています。

 音楽や映画の世界では当たり前になっていっている、クラウド技術を基にしたサブスクリプションサービスが、いよいよゲームの世界にも到来するということです。

 次世代機種である、プレイステーション5やXbox SeriesXの世代は、クラウドゲーム幕開けの時代(世代)だということなのです。

 ソニー(SIE)やマイクロソフトだけではありません。Googleの“Stadia”、Amazonの“Luna”、Facebookの“OculusQuest2”や“Horizon”、Appleの“AppleOne”など、IT大手も続々とゲームに関連するサブスクリプションサービスや、クラウド技術を使ったサービスを進めています。

 映像サブスクの雄Netflixも、ゲームIPの映画化、ドラマ化、アニメ化作品を多数制作し、ゲームファンの取り込みを始めました。PCゲームの世界では、SteamやEpicGamesも存在感を放ちストアを展開しています。

 そして、これらの動きの根底にあるのが、「ID争奪戦」なのです。マイクロソフトは、Xbox Series Xの登場によって、“Xbox GamePass”が一層魅力的となり、Microsoftアカウントが増えていくことを望むでしょう。

 ソニーIDも、PSN(PlayStation Plusや、PlayStationNow)を含む各種ソニーサービスのID統合が進む中で、プレイステーション5が起爆剤となることを望んでいると思われます。

 まだまだ、市場規模が大きいとは言えないクラウドゲームですが、プレイステーション5とXbox SeriesXなどの次世代機の登場は、気が付けば激しいクラウドゲームのせめぎ合いが行われていく「ID争奪戦」期における幕開けなのです。

ニューノーマルは、IDパワーの加速装置

 「ID争奪戦」においては、より多くのユーザーを他社ではなく自社のIDに登録させたいという、ID囲い込みの力学が動きます。サブスクビジネスは、そのIDが沢山集められていることを前提に進むビジネスモデルです。利用者はIDを一度登録すると、似たようなサービスに乗り換えることは、よほどの理由が無いとスイッチしません。ユーザー目線では、より自分に合った、魅力的な、利便性の高いIDを選ぶこととなります。「IDパワー」が重要なのです。

 「ID争奪戦」の本懐は、ゲーム業界に留まりません。先行している音楽や映画のエンタメビジネスにも影響していきます。

 多くのユーザー情報はマーケティングや法人ビジネスのサービスにも大きくリーチしていきます。分野を超えたトータルなパワーが「IDパワー」と言ってもいいでしょう。

 ゲームが、コミュニケーションと、エンタテインメントの両面において、ニューノーマル時代の受け皿になると述べました。そのコミュニケーションの基になるのがIDなのです。

 同じ会社のID同士ならすぐにコミュニケーションが取れます。アカウント作成の際にも有力なIDと紐付けされるケースも少なくありません。「IDパワー」が重視されるこの流れを、ニューノーマルの世界が止めることは決してありません。むしろより2倍も3倍も後押しをしているように感じています。

◇ライタープロフィール
上床 光信(うわとこ みつのぶ)
カドカワ株式会社 マーケティングセクションマネージャー。
株式会社 KADOKAWA GameLinkage マーケティング部マネージャー「ファミ通ゲーム白書」編集長
ゲーム業界、エンタメ業界のマーケットアナリストとして業界の前線を走り続けている。

この記事はビデオリサーチインタラクティブのコラムからの転載です。

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