ニューヨーク市は2018年、米国の都市で初めて、ドライバーに最低賃金を支払うことをUber TechnologiesやLyftに義務づけた。この措置の効果について経済学者らが調査し、米国時間12月8日に報告書「New York City's Gig Driver Pay Standard: Effects on Drivers, Passengers, and the Companies」(ニューヨーク市のギグドライバーの給与水準:ドライバー、乗客、企業への影響)を公開した。報告書によると、このポリシーは乗車料金を大幅に引き上げることなく、ドライバーの賃金を増やす結果になったという。
規制当局が初めてこの給与規定の導入を提案した当初、UberとLyftは、そのような動きは「乗客にとって必要以上の値上げにつながる」として抵抗した。しかし今回の報告書は、そうはならなかったことを示している。
シカゴ大学、ニュースクール大学、カリフォルニア大学バークレー校の経済学者らが、5億件の移動から収集したデータを調査したところ、ドライバーの賃金は2019年、前年と比べて移動1回あたり約9%(1.33ドル:約140円)増加したことが分かったという。この期間、乗客数はおおむね増加し続け、待機時間は減少した。これらの経済学者の一部は最低賃金基準の導入前にニューヨーク市から委託され、その基準の実効性を調査していた。
経済学者らは調査の中で、ドライバーをさらに保護したとしても、必ずしも利用者が損をする結果にはならないと主張している。しかし、UberやLyftは多少の被害を受けるかもしれない。ニューヨーク州におけるUberやLyftの手数料は2018年6月には15%だったが、1年後には12.5%まで減少したと経済学者らは試算している。
Uberの広報担当者は、ニューヨーク州の規制が導入1年目から利用料の増加をもたらしたと指摘した。規制によってUberもLyftもアプリにアクセスできるドライバーの数を制限しなければならなくなり、このことは両社へのドライバーの抗議行動につながったという。
「規制の導入1年目から運賃は上昇し、数万人のドライバーがアプリへの信頼できるアクセスを失い、規制に反対するドライバーの大規模なデモも起きた」 と広報担当者は述べた。「この規制を作り出した人々が、今度は規制がどれほど成功したかを示す調査結果を持っていることは驚くには当たらない。しかし、事実は異なる」
この担当者は1月のThe New York Timesの記事が、ニューヨークから空港までの運賃が120ドルだったと報じていることを指摘した。記事では運賃が上昇した主な理由について、UberとLyftが上場前に低く抑えていた運賃を上場後に引き上げたことだとしている。
Lyftも調査の妥当性に疑問を示し、その結論がもたらす負の影響について警告した。「この偏見に基づいた調査は、こうした規制による真の影響を無視している。供給を抑えたことで1万人のニューヨーカーが当社のプラットフォームを通じて稼ぐ機会を失い、25%の運賃上昇によって低所得の利用者が苦しんでいる」と同社の広報担当者は主張した。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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