Amazonが欧州で批判を浴びている。欧州委員会の競争政策担当委員を務めるMargrethe Vestager氏は、Amazonが自社プラットフォーム上の販売業者に関するデータを利用していることが独禁法違反に当たるとして、同社を正式に提訴したこと、および同社に対する新たな調査を開始することを明らかにした。
Amazonは、欧州連合(EU)と米国の両方で、それぞれの規制当局からますます厳しい監視の目を向けられている。その背景には、テクノロジー大手各社とそれらが行使する権力に対する、さらに幅広い反感がある。なお、Amazonは同様の理由で、ニューヨーク州と米議会の調査も受けている。
欧州では、Amazonが販売業者にプラットフォームを提供しながらそれらの販売業者と競合する立場にもあるという2重の役割を持っていることについて、欧州委がこの2年間調査を続けていた。Vestager氏はこの調査の結果、Amazonが、フランスとドイツという欧州の2大市場における最大のオンラインマーケットプレイスという独占的な地位を濫用していると、欧州委が認定したことを発表した。
欧州委の調査によると、Amazonの従業員はサードパーティー販売業者に関する大量のデータを利用できる状態にあり、それが同社の自動システムに流れていたことが明らかになったという。Amazonはこのデータにアクセスできることで小売競争に一般的に伴うリスクを負うことなく事業を運営することが可能になることから、不当な優位性を得ていると、欧州委は説明している。
「われわれは、Amazonのように2重の役割を持ち、市場支配力のあるプラットフォームが、競争を歪めることのないようにする必要がある」とVestager氏は声明で述べ、「サードパーティー販売業者の活動に関するデータが、Amazonがそれらの販売業者の競争相手として活動する際に有利になるために利用されることがあってはならない」とした。
一方、同氏が発表した2つ目の調査では、Amazonの自社商品や物流および配送サービスを利用する販売業者の商品が優遇されている可能性を調査する予定で、特にウェブサイトを閲覧している際にページの右側に表示される「Buy Box(カートに入れる)」ボタンを獲得できる販売業者がどのように選定されているのかについて調査するという。「Buy Box」ボタンが獲得できれば、その商品が「Amazon Prime」ユーザーに強く推奨されることになるため、販売業者にとっては非常に有利になる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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