フードテックという言葉をよく耳にする昨今だが、具体的にはどのようなテクノロジーやサービスを指すのだろうか。CNET Japanは10月にオンラインで「フードテックカンファレンス」を開催し、日本におけるフードテックの旗振り役として奮闘する農林水産省の最新動向に迫った。登壇したのは、同省大臣官房政策課企画官の大曲英男氏。
フードテックカンファレンスへの農林水産省の登壇は2年連続となるが、実はこの1年で大きな進展があった。まず4月には、「農林水産省フードテック研究会」が発足。4月から7月、合計6回の議論には、ベンチャー、大手企業、研究機関、投資機関、シェフなど、100以上の企業・団体、300名以上が参加したという。
そして10月2日、同研究会を発展的に解消させる形で、「フードテック官民協議会」を発足。現在の登録者数は550名以上にのぼる。これまでは、次世代タンパクを中心として議論を重ねてきたが、今後はフードテック全般に対象を拡大し、フードテック分野における新たな市場開拓を後押しするという。
4月に農林水産省がフードテック研究会を立ち上げた背景には、2つの理由があった。その1つは、日本におけるフードテック分野への投資額が、海外に比べて「桁違いに引き離されている」(大曲氏)という点だ。
「世界では、フードテック分野への投資額が急速に伸びている。国別に見ると、1位の米国が9574億円、2位の中国が3522億円。対して日本は97億円にとどまっており、米国や中国はもちろんインドやイギリスと比べても、“大きく劣後している”と言わざるを得ない。国内ではフードテックの注目度が、諸外国と比較し、まだ高くないためだと捉えている」(大曲氏)
もう1つは、「海外政府におけるフードテック分野への関心が高まっている」(大曲氏)という点だ。例えば、5月に発表されたEUの新戦略「Farm to Fork Strategy」によると、植物・藻類・昆虫等の代替タンパク質分野の開発を新技術として重要視している。米国においては、バイオテクノロジー等の新興技術が輸出管理対象となっている。大曲氏は、「新興技術をめぐる新たな国際秩序競争が始まった」と指摘した。
また大曲氏は、「2040年までは食肉市場は年3%で成長する。代替肉が伸長する一方で、従来の食肉は市場が縮小するとの予測もある」と指摘し、環境に配慮した投資やサステナビリティを重視した研究プロジェクトも、増加傾向にあると言及した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス