NTTドコモ関西支社は、11月5日に開催した冬春新商品発表会の中で、関西エリア独自の取り組みをいくつか発表した。積極展開する5Gサービスは7月末に大阪環状線を一周する形でエリア化済みで、2020年度下期には主要駅や空港、スタジアムでのサービスインを予定している。ドコモ全体では2022年3月末に高速・大容量の人口カバー率約55%、翌年に約70%を掲げている。
5G関連の取り組みではダイドードリンコ(以下ダイドー)と提携し、自動販売機の上に5G基地局アンテナ(sub6:3.7GHz帯)を共同構築する実証実験を2020年内に開始する。5Gサービスを展開するスモールセル基地局は増設が必要とされる一方で、街の景観を損ねない形での設置が求められている。自販機を利用すれば街中で人が集まる場所に違和感なく設置でき、電源の供給などもしやすい。既存の自販機にも設置できるためコストも抑えられる。日本初の取り組みで、設置台数やエリアなどはこれから検討するが、5Gの利用ニーズ調査も兼ねた展開とする。
また、ドコモ関西では他にも景観に配慮したアンテナの設置で5Gエリアの拡大を進める。アンテナのタイプはAGCと連携した世界初のガラスアンテナ、4Gで導入事例があるマンホール型に加え、電話ボックス型を関西では独自に展開する。
5Gネットワークで8K映像を体験できる「5G World Booth」も発表会当日よりオープンした。4方向をディスプレイで囲んだブースの中に入り、クラウドから5Gでストリーミングした各種映像コンテンツが見られる。ブースはドコモ関西支社が入居するDTタワー3Fに設置されており、主に法人向けに公開する予定だが、空きがあれば一般でも体験できる。
2025年の大阪・関西万博などに向けて工事の需要が増える大阪市内では、建設業界がいかに効率良くモビリティを活用するかが課題となっている。竹中工務店とはオンデマンドによる人の移動とモノの搬送を同時に行う「建設MaaS」の実証実験を10月から開始している。ドコモが提供するオンデマンド型交通システム「AI運行バス」を利用し、大阪市内にある竹中工務店の事務所や建設現場、関係省庁への移動に活用しているが、さらに現場で必要とする資材や弁当などをあわせて搬送し、貨客混載輸送がオンデマンドで効率化できるかを11月の間で検証する。
実証実験はワンボックスと乗用車の2タイプを使い、市内の10km区間内を竹中工務店の従業員約1000人を対象に行っている。乗降ポイントは約50カ所あり、ニーズに応じて変更もできる。実験用車両はラッピングしているが、通常の車両に小型のシステムとディスプレイを搭載しているだけでオンデマンドを実現している。1カ月間の実験では、3密を避けたり車内で作業をしながら移動するといったニーズでも利用が拡がっているという。
さらに、関西で初となるドコモショップをベースにした実証実験店の「d garden 東梅田店」を11月30日にオープンする。さまざまな企業とのコラボレーションにより、地域に合わせたサービスを提供するd garden(ディーガーデン)としては10店舗目で、いずれも内容は異なる。東梅田店ではテレキューブサービスと連携し、5G通信でのテレワーク体験ができるコワーキングスペースを提供する。時間制で利用できるワークスペースは「オープンスペース」と「個室」の2種類があり、5Gルーターは無料で貸し出す。コロナ禍で働く環境が変化する中、30〜50代の通勤客が多いエリアでどれだけニーズがあるかを検証し、結果を元に今後の展開を検討するという。
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