酪農・畜産向けIoTソリューションを提供するファームノートは11月4日、人工知能を活用した牛向けウェアラブルデバイス「Farmnote Color」の新機能として、乳用牛および、肉用繁殖牛向けの分娩検知機能を2021年初頭に提供すると発表した。
牛の首に装着したFarmnote Colorがリアルタイムに牛の活動情報を収集。牛向けの分娩検知機能により、分娩の兆候を検知し、生産者のスマートフォンやタブレットにプッシュ通知を発信する。
これにより、牛の繁殖においてセンサー1台で発情から分娩まで管理することができ、DXの推進や省力化、さらなる生産性の改善が期待できるという。
なお、Farmnote Colorは、牛の生態や畜産現場を理解した獣医師社員が製品開発を担当している。
牛の分娩は酪農・畜産生産者にとって、経営の要となる子牛が誕生する重要な出来事となる。生産者にとっては、分娩予定日の前後から昼夜を問わず対象牛の観察が必要となり、年100頭程度の分娩が発生する牧場規模の場合、年間で約500時間の見回り労務とコストがかかっている。
これは、酪農・畜産生産者に肉体的・精神的な負担を強いるもので、同社にもFarmnote Colorを利用した分娩兆候の検知を期待する声が届いていたという。
また、国内の乳用牛と肉用牛を合計すると、年間で約122万頭が分娩をしているといわれているという。分娩には事故のリスクがあり、その潜在的損失額は年間推定で351億円にもおよんでいる。
今回、分娩当日に兆候の通知が届く牛の分娩検知機能を開発したことで、約80%の見回り労務削減が期待できるほか、分娩発見の遅れを原因とする寒冷地での出生子牛の凍死や獣害などの事故、難産の早期発見によるリスク低減が期待できるという。
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