アドビは10月22日、クリエイティブカンファレンス「Adobe MAX 2020」をオンラインで開催。同社の最新技術を同イベントの人気コーナー「Sneaks」で披露した。
今回披露されたのは、10の最新技術。同社のAIプラットフォーム「Adobe Sensei」を活用したものが多く、動画や2D/3Dグラフィックス、AR、コンピュータビジョンなど多岐にわたる。
まずは、今回のSneaksでもっとも度肝を抜かれたデモ「Comic Blast」を紹介しよう。これは、マンガ制作の作業効率を飛躍的に向上させるもので、台本を読み込むと、コマ割りと台詞が入った吹き出しを自動で生成。コマの追加や吹き出しの統合、間隔なども自由に調整できる。また、手書きのラフスケッチをインポートすると、自動でトレースして線画を生成。同社のイラストアプリ「Adobe Fresco」にエクスポートして着色作業に移行することも可能だ。
さらに、読者が作品の世界に入り込むこともできる。カメラで撮影した読み手の顔写真を読み込み、絵のトーンに合わせた状態でキャラクターの顔を読者に置き換えることができ、あたかも自分が作品内に登場しているような体験が可能。選択肢で展開が変わるように分岐したストーリーを組み立てることもできる。そのほか、作成したマンガをもとにアニメーション効果を追加でき、キャラクターがコマを飛び出したり、パララックスエフェクトを加えたページを生成できる。
ただし、日本のマンガ制作の場合、ネームを作成しながらストーリーを構築していく手法が一般的で、分業が進んでいる米国のように、しっかりとした台本が事前に用意されているケースは少ない。そのため、Comic Blastの高い効率性を日本でフルに生かすことはまだ難しいように思う。一方で、デモを見た限りでは、アプリとしてすでに完成の域に達しているように思えた。自動着色など、今後のアップデートにも期待したい。
Sharp Shotsは、低速のシャッタースピードで撮影すると生じがちな被写体ブレを軽減する技術。Adobe Senseiを使い、動画・静止画を問わず被写体をクッキリ見せることができる。シャッタースピードを抑えがちな夕方や夜の撮影などで威力を発揮しそうだ。
2D Plusは、複数の2Dオブジェクトの再配置を簡略化する技術。表面上は2Dオブジェクトとして見えるが、内部では3Dオブジェクトとして処理され、パースをかけたような配置なども数クリックで適用できる。光源を加えて影を生成し、他の2Dオブジェクトに影をかぶせることも可能だ。
スマートフォンのみで、高精度な3Dモデルをキャプチャ・生成できるのが「Scantastic」だ。デモでは、シューズの3D化にチャレンジしていたが、スクリーンに表示されるボックスとシューズを重ね合わせることでスキャン範囲を指定。スマートフォンでそれぞれの角度を撮影すると3Dモデルが生成され、同社のARアプリ「Adobe Aero」や3Dソフト「Adobe Dimension」で読み込むことができる。
似たような機能やデモは他社でも披露されているが、デモでは生成したモデルをもとに3Dプリンターで実物大に出力。破綻の少ない高精度なモデルが生成できるポイントをアピールした。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」