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LIFULL、ブロックチェーン活用で不動産クラウドファンディングを安全便利に

加納恵 (編集部)2020年10月23日 08時30分
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 LIFULLが不動産クラウドファンディング事業における利便性と安全性の引き上げに動き出した。10月20日、デジタル証券プラットフォームを提供するSecuritize Japanとの協業で、不動産特定共同事業者(不特法事業者)向けSTO(Security Token Offering)プラットフォームの提供を開始。エンジョイワークスのプロジェクト「葉山の古民家宿づくりファンド」を国内初の一般投資家向け不動産STOとして実施する。

不動産特定共同事業者向けSTOスキーム
不動産特定共同事業者向けSTOスキーム

 LIFULLでは3月にグループ会社であるLIFULL Social Funding(現「LIFULL Investment」)、Securitizeと共に空き家の利活用等への投資における不動産STOスキームの実証実験を開始。8月にスキームの提供に踏み切り、今回の提供に至った。

 この事業を推進するLIFULL 不動産ファンド推進事業部ブロックチェーン推進グループ長の松坂維大氏は「不動産価値そのものをデジタルアセットとして扱い、オンライン上で権利関係もやりとりする取り組みを進めてきたが、不動産という現物のものであることがハードルになっていた。しかしブロックチェーンによるトークン発行の形で権利を持つことによって、これは実現できそうだと感じ、研究自体は3年前からスタートしていた」と、背景を話す。

 技術面は、Securitizeプラットフォームをベースにすることで、スムーズなトークン発行を実現。「通常、投資家向け管理画面やユーザーインターフェースなど、すべてを一括して提供しているが、今回のスキームにおいては、トークン化の部分をSecuritizeが請け負い、契約のフローなどはプロジェクトの運用側に任せるなど、部分的に切り離すことで、いろいろなニーズに対応できるようにしている」とSecuritize Japan Tech Consultantの森田悟史氏はシステム内容を説明する。

 不特法に基づく不動産クラウドファンディングは、出資持分の譲渡手続きが複雑なため、運用期間中に投資家同士がセカンダリ取引するのは困難とされている。このため、中長期安定運用が可能なプロジェクトでは、長い間換金ができず、投資対象として検討しにくくなるという問題があった。

 今回、セキュリティートークン(ST)を取り入れることで、出資持分譲渡を実現。資産運用期間中の譲渡を前提とした不動産小口投資が可能になり、不動産投資をより多くの人々に広げ、身近なものにしていくことを狙う。これにより不動産というリアルなアセットを、利便性が高く、かつ安全にやりとりできるようになることがメリットだ。

 「不動産は土地の坪数や建物の価値を台帳に記すことで、売り手や買い手がその価値を合意している。ブロックチェーン上のトークンはこの台帳の役割を果たすもの。これによって、オンライン上で誰もがその不動産の価値を確認できるようになる。ブロックチェーンは改ざんの心配もなく、高い信頼性を持つ。より安心して取引ができるようになる」(松坂氏)と役割を説明する。

 ただ、全く新しい取り組みだけに課題もある。「今までにない取り組みのため、警戒されてしまうリスクはある。LIFULLは、ウェブ上で物件を紹介する『LFULL HOME'S』をはじめ、不動産業界のDXに取り組んできた会社。事例を積み上げながら、理解を広めていきたい」(松坂氏)と着実に実績を積み上げる方針だ。

 ブロックチェーンと聞くと真っ先に仮想通貨を思い浮かべてしまうが、不動産の取り扱いに問題はないのだろうか。この疑問に対しては「グローバルで見ても、不動産を裏付けにしたセキュリティトークンは一大領域を築きつつある。海外事例も多くなってきており、ポテンシャルのある領域。日本の不動産における取り組みもこれから広がっていければと思っている」(森田氏)とむしろ好相性だという。

 松坂氏は「日本の不動産を全部トークン化したい」と将来の展望を描く。現在、不動産が証券化されている割合は日本全体で2%程度。トークン化ができれば、投資しやすい形になり、オンラインで売買ができるなど利便性も高くなる。業界全体で、この仕組みを整えて行きたい」と今後も見据える。

 ただし、森田氏は「STという言葉自体がまだ普及しておらず、定義も明確にはないので、混乱のもと。今回の取り組みは『不動産特定共同事業法に基づく出資持分をトークン化したもの』という分類にあたり、一般の人がイメージするSTの範囲とは異なる可能性もある。トークン化を進めるとともに認知を広げることも重要」と慎重な姿勢を示す。

 松坂氏は「不動産では難しいとされていたSTOを実現できたのは大きな一歩。不動産は縁遠いと思っている人にももっと身近なものとして認識してもらい、資産形成の1つの手段として考えていただくようにしていきたい」とした。

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