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オンラインで不動産売買--GAに聞く「IT重説」社会実験1年の手応え

加納恵 (編集部)2020年10月20日 08時30分
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 2019年10月1日から2020年9月30日にかけて実施された不動産売買における「IT重説」の社会実験。1年の実験期間を経て、不動産業界にどんな効果をもたらしたのだろうか。1年間で242件のIT重説を実施し、うち70件では面談から契約まで完全非対面での不動産売買契約を結んだというGAテクノロジーズに話を聞いた。

IT重説の実施件数
IT重説の実施件数

 IT重説は、国土交通省が推進する「個人を含む売買取引におけるITを活用した重要事項説明に係る社会実験」として実施されたもの。9月30日で終了する予定だったが、新型コロナウイルスの感染対策という意味もあり、同日以降も継続されることが決定。2020年度内の本格運用に向け、年度内にガイドラインを改定する見通しだ。

 GAテクノロジーズでは、2019年9月にこの社会実験への参画を発表。投資用不動産の売買契約となる242件でIT重説を実施した。この数はGAテクノロジーズが手掛ける売買契約の約1割にあたるという。3月以前は、重要事項説明以外の売買契約に係る書類作成や金融機関へのローン申し込み、登記等の手続きのために営業担当者がユーザーの元に訪れる形をとっていたが、新型コロナ感染拡大を受け、4月以降は営業担当者も非対面で面談から契約手続きまで行う完全非対面を約70件(約50名)で実現した。

  「宅地建物取引士(宅建士)にとって、IT重説はメリットしかない。従来は対面での説明が義務付けられていたため、移動の時間を含めると対応できる数は1日3~4人が限界。それがオンラインに変わると移動時間がゼロになるため、倍以上の数ができる日もあるほど。IT重説だけを考えると悪いことが一切ない、効率を徹底的に上げられるというのが現状」と、GAテクノロジーズBusiness Support Division/Process Management Department/Process Management Unitマネージャーの李紅梅氏は説明する。

 重要事項説明は、1件につき30分程度と時間にすればそれほど長くはかからない。しかし対面で実施しなければならなかったため、その場に出向く必要があったとのこと。オンラインで実施することで効率は格段に上がったという。

  ユーザーからの反応も上々だ。「元々、新型コロナによる外出自粛等を通じてオンラインや非対面に慣れたお客様なので、不動産だからといって対面でという固定概念がなく、非対面でできるのであれば、そちらでと選択いただくお客様が多かった」とGAテクノロジーズ LIFE DESIGN Division I/Sales Promotion Department/Creation Unit マネージャーの萩野裕明氏も続ける。

GAテクノロジーズ のBusiness Support Division 李紅梅氏とLIFE DESIGN Division I 萩野裕明氏
GAテクノロジーズ のBusiness Support Division 李紅梅氏とLIFE DESIGN Division I 萩野裕明氏

 4月上旬から実施した完全非対面での契約締結も「お客様からは特に不安などはなく、むしろ興味を持ってくださる方が多かった」(李氏)とのこと。時間や場所の自由度の点でも利便性を感じるユーザーが多く、コロナ禍において安心感にもつながったようだ。

 効率的で便利なIT重説と完全非対面契約だが、「顧客に寄り添う姿勢がより肝要になる」と萩野氏は指摘する。「今まで営業担当者の仕事は、お客様とお話しをして、物件に対するアドバイスをしたり、契約時にサポートしたりと、最初から最後まですべてを伴走させていただく形だった。重要事項説明も宅建士から説明しても、すぐそばに営業担当者がいることで、お客様との信頼関係も構築できた。非対面では、ステップごとに専任の担当者が変わる分業制の形をとっている。その状況でも、すべての契約手続きを熟知し、お客様と信頼関係を築けるようにしていなければいけない」と、ユーザーと密接な距離感を保つ必要性を強調していた。

 そのため、ユーザーと直接面談する機会も設け、初回はオンラインでも2回目は対面を推奨するなど、ユーザーの意思を確認しながら、契約を進められるようにしているとのこと。「対面のほうがお客様との信頼関係を築きやすい。これは契約率についても同様で、オンラインでは対面と同等の温度感を伝えることは難しい」(萩野氏)と、対面の重要性も説く。

シミュレーションツールを利用したオンライン面談のイメージ
シミュレーションツールを利用したオンライン面談のイメージ

 しかし営業担当者同士という点では、オンラインならではの連携も可能だ。「例えば東京支社のお客様でも、営業担当者の手が混んでいるようであれば横浜支社の人間が担当になり、フォローできるのはオンラインならでは。場所の制約がないため、支社間で相互支援できる強みがある」(萩野氏)と新たな営業体制も構築する。

 1年間の社会実験期間を経て、萩野氏、李氏ともに「オンラインでもできる」ことを実感したとのこと。「法整備が進んでいなかったという声もあるが、オンライン化へのハードルだったのは、ハンコが必要、書類でないとだめという文化。実際にIT重説、非対面での契約締結までを実践して見て感じたのは『非対面でもできる』という気づき」(萩野氏)と話す。

 「ハンコや書類は、不備があると書き直しになり、それが大変。電子契約であれば、不備をその場で指摘でき、契約もスムーズ。時間もかなり短縮できる」(李氏)とデジタル化のメリットを強調する。

 萩野氏は「目指すのは不動産業界全体の業務効率化。金融や行政など関連業界と連携したプラットフォームの構築をすでにグループ会社が開始している。これには不動産事業者の方々にも賛同いただいており、皆様とともに業界全体の変革を成し遂げていきたい」とした。

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