ビデオゲームは数十億ドル規模のビジネスであり、ハッカーらはそれに着目しつつあるという。米司法省が米国時間9月16日に警告した。同省は、複数のビデオゲーム会社に対する6年間にわたるハッキング活動に関与したとして、5人の中国人ハッカーと2人のマレーシア人IT企業幹部を起訴したと発表した。
5人の中国人ハッカー(Zhang Haoran被告、Tan Dailin被告、Qian Chuan被告、Fu Qiang被告、Jiang Lizhi被告)は、ソーシャルネットワーク、通信事業者、大学、非営利団体を含む、100を超える組織を標的にハッキングしたとされている。これらの組織は、国家主導のハッカーにとって一般的な標的だが、ビデオゲーム会社を標的とした攻撃に、米司法省は新たな懸念を示している。
「残念だが、ハッカーらが狙う新しい領域としてこれを捉えている。また、これは数十億ドル規模の業界だ」と、ワシントンDC連邦検事代行を務めるMichael Sherwin氏は記者会見で述べ、「これらのオンラインゲームの多くで、多くのコイン、トークン、デジタル通貨が取り引きされる」とした。
米国におけるビデオゲームへの支出は堅調に増加しており、6月には12億ドル(約1260億円)に達した。基本無料のゲームである「フォートナイト」は、ゲーム内課金によって2018年に世界で24億ドル(約2520億円)の売上高を上げている。ハッカーにとっては、サイバー攻撃による利益が狙える成熟した業界だ。
「標的にあふれた新しい環境だ」とSherwin氏は述べ、そうした攻撃の範囲や巧妙さは「前例がない」とした。
ハッキング活動は2014年6月に始まり、2020年8月まで続いたと司法省は述べた。米国、韓国、日本、シンガポールを拠点とするビデオゲーム会社が被害に遭った。
「APT41」として米政府に知られている中国人ハッカー集団は、ブルートフォース(総当たり)攻撃、スピアフィッシング、サプライチェーン攻撃など、複数の方法でアクセスを得たとされている。ブルートフォース攻撃とは、考えられるすべてのパスワードを試してヒットするものを探すやり方だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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