アイルランドのデータ保護委員会(DPC)はFacebookに対し、欧州連合(EU)から米国へのユーザーデータの送信を停止するよう8月下旬に予備的命令を出したという。The Wall Street Journalが米国時間9月9日に報じた。FacebookもEUから米国へのデータ送信について、アイルランドのDPCが調査を開始したことを認めた。
この動きは、EUと米国間のデータ送信基準がユーザーのプライバシーを十分に保護していないとした、7月のEUによる法的判断に続くものだ。この判断の裏側には、EUの個人情報保護法が米国より厳格だという事情があり、さらに米国政府が、同国の監視関連の法律を根拠に、EU市民のデータを集めている可能性がある点も考慮されている。
欧州司法裁判所の判断によって、EU市民のデータを米国に送信することを企業に許可する枠組み「EU-USプライバシーシールド」は無効になった。Facebookの国際問題&コミュニケーション担当バイスプレジデントを務めるNick Clegg氏は、この決定を受けて「国際的なデータ送信の長期的な安定性を確保する方策について、自社の立場を明らかにする」とした。
「安全で合法的な国家間データ転送の欠如は、われわれがコロナ禍からの復旧を模索する中、経済に悪影響を与え、EUにおけるデータドリブンなビジネスを阻害する」と、Clegg氏は9日の声明で述べ、「その影響はビジネス分野だけでなく、医療や教育などの必要不可欠な公共サービスにも及ぶおそれがある」とした。
欧州司法裁判所の判断は、オーストリアのプライバシー保護活動家Maximilian Schrems氏が、2019年にこのプライバシーシールドに異議を唱えたことを発端としている。同氏は自分のFacebookのデータが政府の監視プログラムによるアクセスが可能な米国に送信されたとの主張を展開していた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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