自動運転車のテスト走行が世界中で始動する中、自動車以外の乗り物も人間のオペレーターを不要にしようとしていることは驚くに当たらないだろう。航空機も例外ではない。ある企業の取り組みは、無人航空輸送の未来を示唆している。
ある企業とは、カリフォルニア州サンフランシスコに本社を置くスタートアップXwingだ。同社は改造した「Cessna 208B Grand Caravan」で、離着陸を含む完全自律の飛行を何度も実施してきた。このカテゴリの航空機で完全自律飛行を成功させたのは同社が初だとしている。同社は、500マイル(約800km)以内の乗客および貨物の輸送を対象としており、これまで大々的な発表をすることなく運営されてきた。
航空分野では長らく無人ドローンがその一角を占めてきたが、自動操縦航空機の規制当局が扱ってきたのはドローンだけではない。自動運転車が実現の途上にあることは間違いなさそうだが、自動操縦航空機についての話は、あまり聞こえてこなかった。だがそれも変わる。最近の、自律システムの障害に起因するBoeingの「737MAX」の墜落事故で、自律システムに対する消費者の信頼は大きく損なわれたと思うだろう。だが、ANSYSが2019年6月に発表した調査結果によると、それほどでもないようだ。実際、消費者の7割は、一生のうちに自動操縦航空機に乗ってもいいと回答した。
1月にはUberとヒュンダイが空飛ぶタクシーの開発で提携したと発表した。これは、乗客を目的地まで道路の上空を飛んで運ぶというものだ。
Xwingが狙っているのは地域の航空市場だ。同社は米連邦航空局(FAA)から「Part 135 Air Carrier」の認可を取得しており、今後数カ月中に自社の航空機を使った貨物運航業務を開始する計画だ。
自律航空輸送にとって、今は大きな好機だ。FAAによると、米国の航空業界では過去30年間で有資格パイロットが30%減少したという。一方、翌日配送を含む輸送とフルフィルメントの急拡大が、航空輸送のエコシステムに多大な負担を掛けている。
Xwingの「Autoflight System」は、既存の航空機を同社が「オプションで操縦も可能な航空機」と呼ぶものに改造することで、こうした問題に対処する。遠隔のオペレーターが地上から航空管制官と協力してシステムを監視し、自律航空機の安全性を確保する。
Xwingの創業者で最高経営責任者(CEO)のMarc Piette氏は「航空輸送の未来は自動化にある」「完全自律飛行への道は航空貨物から始まり、無人航空機を人間の遠隔オペレーターが監視する」と述べた。
Xwingは、貨物容量4000ポンド(約1800kg)以上の9000ポンドのCessna 208B Grand Caravanベースの無人航空機について、認可の取得に向けてFAAと協力してきた。この機種は世界中で地域貨物輸送や人道的使命に使われている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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