Ankerグループの本社であるAnker Innovations Technologyは8月24日、深圳証券取引所の新興企業向け市場「創業板 (ChiNext)」に新規上場したと発表した。新方式のIPO登録制導入後初の上場企業の1つになる。
公募株式数は4100万株で、発行済株式総数は4億642万7207株。公募価格は66.32人民元で、取引初日の終値は146.86人民元となった。日本円における終値ベースの時価総額は9132億円。
今回、新規に調達した資金は約420億円。用途としては、深センの研究開発部門に約69億円を投じ、コア技術を新規創出し、既存製品を進化させるほか、AI・ソフトウェア応用技術の開発、品質管理を強化するべく、長沙の研究・品質部門に約54億円を投資。さらにグローバルでの営業、業務体制、顧客サービスを強化するべく長沙の運営・CS部門に約29億円を投じる。そのほか約268億円は、日本での展開を含む戦略投資とする。
アンカー・ジャパン 代表取締役の井戸義経氏は「アンカーは、チャージングブランドとしてスマートフォンを充電するという直接的な形でサポートするものにはじまり、スピーカーやイヤホンなど機能を拡張するもの、スマートフォンと連携して使うロボット掃除機やスマートプロジェクターなど製品が広がっている」と現状を説明。
さらに「過去の経験則によりハードウェアのライフサイクルは10年間で寿命を迎えると強く意識している。これは逃れられない宿命のようなもの。アンカーでは新製品、新カテゴリーへの挑戦を続け、ハードウェア事業の宿命を乗り越えようとしている」と続けた。
一方、アンカー・ジャパンは、2019年に約135億円の売上高を記録し、創業時から1400%の成長を達成。「2020年の上半期は新型コロナウイルス感染拡大を受け、危険な状況になったが、アンカーは幸いにも全体で25%の成長を遂げた」(井戸氏)とした。
今回のAnker Innovations Technologyの上場を機に、日本市場向けには、コーポレートロゴの刷新と経営体制の強化を発表。2014年から事業戦略本部の総責任者を務める猿渡歩氏を、8月24日付で取締役COOに選任した。
猿渡氏は「アンカー・ジャパンは2013年の創業以来、順調に成長を続け、成長率はグローバルの平均を上回っている。新型コロナの影響で困難なこともあったが、2020年は2019年を上回るペースで利益を積み上げる。アンカーと言えばチャージングというイメージは強いと思うが、スピーカーやイヤホンなどマルチブランド戦略を採用し、デジタル総合機器メーカーとして進化してきた。イヤホンやロボット掃除機は大手メーカーや新興メーカーなどの参入が激しい市場だが、後発でもここまでシェアを伸ばすことができ、手応えを感じている」と創業から今までを振り返った。
今後については、既存のオンライン、オフライン販路におけるさらなる売上拡大、オフライン販路での体験強化&取り扱い製品の拡充などをあげ、9月5日には、新直営店「Anker Store 梅田ロフト」がオープンすることを発表。またスマートプロジェクター「Nebula」をブランドとして独立させ、第4の事業の柱に据えることも明らかにした。
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