Donald Trump米大統領は米国時間8月14日、対米外国投資委員会(CFIUS)の提言を受け、人気の高いショート動画アプリ「TikTok」に関する新しい大統領令を発動した。
新しい大統領令は、TikTokを運営する中国企業の字節跳動(バイトダンス)が90日以内に米国事業を売却するよう求めている。また、TikTokの米国ユーザーから取得したすべてのデータを削除することを命じている。
この新しい大統領令により、米国事業の売却先を探す期間が、当初の2倍に延長されたことになる。6日の大統領令では、45日以内の売却が命じられており、TikTokが9月に禁止される可能性が高まっていた。45日後よりバイトダンスとの「取引」が禁止され、米国内でTikTokを配布する「Google Play」ストアやAppleの「App Store」に影響を与える可能性があった。中国大手の騰訊(テンセント)が運営するメッセージングアプリ「WeChat」に対しても、同様の大統領令が発動されている。これらは国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて出された。
6日の大統領令には、「中国企業が開発し、所有するモバイルアプリが米国で拡散していることは、米国の安全、外交政策および経済を脅かし続けている。現時点では、1つのモバイルアプリ、具体的にはTikTokによる脅威に対処するための行動が必要だ」と書かれていた。
Trump大統領は、7月上旬からTikTokに対する措置を検討していたようだ。Mike Pompeo米国務長官は7月、TikTokによって中国政府が米国ユーザーのデータにアクセス可能になる恐れがあることを懸念し、大統領がTikTokの禁止を検討していると述べていた。Trump政権はその後、TikTokの事業を米国企業に売却させることに軸足を向けるようになった。Microsoftは、ByteDanceの一部事業の買収に向け、同社との交渉に入っている。Microsoftは大統領令についてコメントを控えた。
TikTokは6日の大統領令について、ブログ記事で激しく批判し、米政権の誠意のない動きを非難していた。
TikTokはブログで、「われわれは1年近くにわたり、誠意を持って米政府に協力し、表明された懸念に対して建設的な解決策を提供しようと努めてきた」とし、「それにもかかわらず、米政府は事実に目を向けず、標準的な法的手続きを経ずに合意の条件を指示し、民間企業間の交渉に自ら介入しようとした」と述べていた。
ByteDanceは、11日の新しい大統領令を受け、あらためて米国でTikTokのプレゼンスを維持する意向を表明した。
同社の広報担当者は、「これまでにも述べてきたとおり、TikTokはエンターテイメント、自己表現、つながりの場として1億人の米国人に愛されている」とし、「われわれはこの先も長く、家庭に喜びをもたらし、われわれのプラットフォームで創作する人々に有意義なキャリアを提供していくことに尽力している」と述べた。
NPRによると、TikTokは6日の大統領令に対する提訴を準備しているという。訴訟では、TikTokに答える機会を与えなかったことから、Trump大統領の行動が違憲であると主張するという。TikTokはこの報道について、コメントを控えた。
これとは別に、TikTokの従業員は、自分たちの生計を立てる手段が奪われる可能性があるとして、この大統領令の差し止めを求めようとしており、資金集めをしているようだ。従業員は、インターネットに詳しい著名な弁護士Mike Godwin氏に助言を求めるとしている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」