エーザイとディー・エヌ・エーの子会社であるDeSCヘルスケアは7月28日、認知症に備えるためのブレインパフォーマンスアプリ「Easiit」の提供を開始したと発表した。またエーザイは、認知症プラットフォームEasiitについても本格始動させるという。
Easiitアプリのメインターゲットは40代、50代以上のビジネスパーソンだ。仕事などで以前よりも記憶力がよくなくなってきた、パフォーマンスが落ちてきたかもしれないと感じるのが30代を過ぎてからだという。ディー・エヌ・エー 執行役員 ヘルスケア事業本部長の瀬川翔氏は、「40代以降の約半数が認知症への不安を持ちながら、対策をしている人は1割」と説明する。
2019年にWHOが脳のパフォーマンスの低下リスク低減に向けたガイドラインを出し、ライフスタイルの改善により脳の衰えを遅らせる可能性が示されている。運動や禁煙、栄養、飲酒など12のテーマにおけるエビデンスや推奨レベルが提示されたという。
「認知症へのリスク低減に向けて、脳トレをやればいいのではと思うかもしれないが、ライフスタイルの改善も必要」とし、ブレインパフォーマンスに良い習慣をするとスコアアップすることで“脳の健康度合いを見える化”。ディー・エヌ・エーグループのゲームやスポーツのノウハウを活用して楽しみながら継続できるしくみを導入したのがEasiitアプリだ。
Easiitは、歩数・食事・睡眠・体重の記録(ライフログ)をもとに、週替りで食事内容や運動(歩数)などに関する個別推奨メニューを提示する。さらに、それらのメニュー実施記録から、ブレインパフォーマンスによい行動や習慣について独自のスコアリングが行われる。
食事の記録は、食事写真をアップロードすると、自動で料理メニューを判定。カロリーと11栄養素を年齢性別に合わせた基準値とともに表示され、食事管理が手軽に行える。
また、アプリを利用するたびにEasiitマイルが貯まり、貯まったEasiitマイルはギフト券などへの交換が可能だ。
他にもウェアラブルデバイスとの連携、睡眠時間の記録などの機能を通じ、ブレインパフォーマンスに良いと考えられる習慣づくりを支援する。
両社によると、すべての機能は個人情報保護体制のもとで、設計・開発および、運営がされているという。
iOS版はすでに配信を開始しており、Android版は8月末配信予定だ。料金は無料で、個人データの経時的可視化機能や、多数のコンテンツを付加し高機能化した有料版は冬に配信予定。
エーザイは、認知症領域で35年以上にわたる創薬および、事業活動の経験を持つ。医療機関、診断薬開発企業、研究機関やバイオベンチャーに加え、民間保険、金融、フィットネスクラブ、自動車メーカー、小売業、介護施設などと連携した「認知症エコシステム」の構築を目指しており、その基盤となるのが、認知症プラットフォームEasiitだ。
参加する当事者の情報とエーザイが有するノウハウ・経験や臨床データなどの独自データセットと併せ、関連法令を遵守した形でデータ解析し、さまざまな予測やアドバイスをできるようにする。
なお、現在エーザイが法人向けに発売しているブレインパフォーマンスをセルフチェックツール「のう KNOW」(非医療機器)とのデータ連携機能を9月末頃に搭載する予定。このほかにも、離れて暮らす家族と一緒に使う新機能の追加も予定している。
両社では、機能拡張などを含め、デジタル・プラットフォームにおける連携を引き続き進めるほか、日常生活データに加え、医療データと連携する機能(非医療機器として)についても将来的な搭載に向けた検討を予定しているという。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」