新型の動物用小型ハイテクバックパックが開発された。ショウジョウバエ、鳩、それに蜂向けのバックパックはすでに開発されているが、今回は小型パノラマカメラを備えた甲虫向けバックパックだ。
この装置について、米国時間7月15日にScience Robotics誌に論文が掲載された。主筆のShyam Gollakota氏(ワシントン大学)は、「われわれは省電力、軽量のワイヤレスカメラシステムを開発した。実際の生きた昆虫の視点から見えているものを録画したり、小型ロボットに視覚を作り出したりできる」と語った。
ワシントン大学はカメラがスマートフォンに白黒の動画を送信する様子を撮影した動画をアップロードし、具体的なカメラの機能を公開している。研究者はスマートフォン上の操作によりカメラを回転させることが可能で、パノラマ画像の撮影もできる。
開発チームはデスフェイニング・ビートルとピナカテ・ビートルにバックパックを取り付け、虫達が不自由なく動けるかどうか観察した。虫達がわずかな重量の増加を気にする様子はなく、プロジェクトの終了後1年以上にわたり生存した。
共同著者のVikram Iyer氏は「われわれが歩行中の甲虫の視点を体験するのは初めてのことだ」と語った。
このカメラは、加速度計により、甲虫が動いたときだけカメラを起動する設定にすることもでき、その場合6時間以上充電なしで使用可能だ。開発チームは太陽光をエネルギー源とするモデルも構想している。
カメラは虫だけでなく、小型のロボットに使用することもできる。開発者は、「世界最小のワイヤレス映像を発信する陸用自動電源ロボット」も開発済みだ。
この昆虫サイズの省エネロボットは振動することで移動する。そのため、一旦停止して鮮明な画像を撮影する仕組みになっている。
この甲虫用の撮影装置は単にキモカワいいだけではない。科学者が昆虫および昆虫が環境に応じてとる対応を理解するのを助けてくれる。また、撮影が難しい場所の映像を入手する新たな手段ももたらしてくれる。
甲虫が「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」よろしく森の中を撮影して回れば、映画のような衝撃映像が取れたりするのかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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