また、ドローンは感染拡大を遅らせる目的で、屋外市場などの消毒にも使われる。韓国では、医療従事者への感謝と、マスク着用や手洗いなどの感染予防を促すメッセージを空に描くためにドローンが使われた。
世界的な感染拡大の中、ドローンは自宅待機やロックダウンの実施状況の把握、感染者スクリーニング目的での屋外にいる人々の体温測定、人混みで鼻をすすったり咳をしたりしている人の検出などにも使われている。
こうしたドローン活用のすべてが今後も続くとは限らない。だが、感染が拡大する前からあるビジネスモデルは、新型コロナウイルスで収益を得られそうだ。ドローンによる僻地への医薬品や生活用品の配送は感染の収束後、経済が安定すれば、より広く普及するだろう。だが、多様な接触追跡アプリが使われるようになった今、緊急時のドローンなどによる監視技術にはプライバシーの懸念がある。
感染拡大が始まってから、世界中の政府と保健当局が、人々の健康状態または移動状況を把握する方法として、モバイルアプリに注目した。
政府による健康関連アプリにはさまざまな仕様のものがある。例えば、アルゼンチンなどの一部の国の政府は入国者に対し、外出禁止を守っていることを確認する目的で位置情報を監視するアプリをダウンロードするよう要請する。香港のアプリはさらに、腕に装着するウェアラブルデバイスと同期する。個人の移動を監視するだけでなく、集団の動きを監視するために利用できるデータも収集する政府もある。このデータを解析することで、ウイルスの拡大状況を公表できる。
多数の国で、接触追跡アプリの提供が始まっている。こうしたアプリは、新型コロナウイルスに感染した個人と接触した可能性があることを確認するためのもので、スマートフォンのBluetoothデータを利用するものが多い。症状追跡アプリを立ち上げた政府や保健当局も多い。
こうしたアプリの主目的は、新型コロナウイルスの拡散を阻止または遅らせることだが、より広い範囲の監視目的でアプリを使うことに関心のある政府によって不適切に使われる可能性もある。結局、世界中でいまだにウイルスが猛威を振るう中、人々は平常時より個人情報を提供してもいいと考えており、個人はプライバシーと感染拡大の二者択一を求められているのだと当局が主張しやすくなっている。
プライバシー保護活動団体のPrivacy International は次のように書いている。「こうしたアプリで試みられるのは、あなたが接触したすべての人と、おそらくあなたが行ったことのあるすべての場所のデータの蓄積だ。政府によるデータ収集が、このように大きな規模で実施されたことはかつてない。これまでは不可能だったからだ。政府がこれからするかもしれないのは、あなたについて、かつてないほど多く知ることだ」
だが、感染追跡は必ずしもプライバシーを犠牲にする必要はない。ダルハウジー大学のFrancoise Baylis教授は最近のCogXイベントで、現在が危機的状況で、難しいトレードオフに対処しなければならないという仮定があると語った。
「その1つはプライバシーと健康のトレードオフだ。いずれかを選ばなければならないなら、ほとんどの人は健康を選ぶ」が、Baylis氏はこの仮定は必ずしも正しくないと語った。「いずれかを選ばなければならない問題だと考える必要はない。われわれがすべきなのは、状況を注視し、健康とプライバシーの両方を守るために導入できるテクノロジーは何かを見極めることだ」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する