大日本印刷(DNP)は7月13日、同社の研究開発センターと東京大学の染谷隆夫博士(大学院工学系研究科長・教授)の研究チームが、フルカラーLEDを実装した薄型で伸縮自在なスキンディスプレイを開発したと発表した。
同装置は、皮膚上に貼り付けたディスプレイに対し、外部から送られた画像メッセージが表示できるコミュニケーションシステム。独自の伸縮性ハイブリッド電子実装技術をベースに、薄型で伸縮自在なフルカラーのスキンディスプレイと駆動・通信回路および、電源を一体化しているのが特徴だ。
スキンディスプレイには、1.5mm角サイズのフルカラーLEDが薄いゴムシートに2.5mmの等間隔(12×12個、144画素)で埋め込まれている。全体の厚みは約2mmで、130%までの伸縮を繰り返しても電気的・機械的特性が損なわれないという。また、薄型・軽量で伸縮自在なため、皮膚に直接貼り付けても人の動きを妨げることがなく、装着時の負担が大幅に低減可能。皮膚以外にも、曲面を含む色々なものに張り付けることができる。
表示部の駆動電圧は3.7V、表示スピードは60Hz。最大消費電力は平均100mW。フルカラーLEDによって、9000色以上の色表現が可能。表示エリアの外周周辺に制御回路とバッテリーも実装しており、配線ケーブルを不要としつつ、手の甲に貼り付けたスキンディスプレイに外部からBLE(Bluetooth Low Energy)通信で表示内容を制御可能。
なお、同装置は、伸縮性のある配線材料として銅を採用しており、一般的な電子部品製造プロセスを用いて製造できるという。産業界で実績のある量産性に優れた方法で製造が可能なため、早期の実用化と将来の低コスト化が期待できるとしている。
スキンディスプレイの通信・駆動回路、電源を一体化したことにより、スタンドアローンのコミュニケーションツールとして利用できるという。例えば、遠く離れたところにいる人からの応援メッセージが、あたかも自分の身体の一部に灯るかのようにLEDの発光で表示可能。その結果、SNSやメールでのコミュニケーション以上に、相手のメッセージを受け手が身近に感じる効果が期待できるという。
また、表示素子や各種センサーを利用するスキンエレクトロニクスでは、かさばるデバイスを身に着けなくても、皮膚に貼りつくデバイスで身体の動きや体調をセンシングできるため、コミュニケーションをとる相手と感覚情報を共有する新たな手段を提供できる可能性があるとしている。
今後、こうした体の表面に近いところで表示するセンシングデバイスがコミュニケ―ションに与える効果について検証する研究も続ける。スキンエレクトロニクスによって、スマートフォンやタブレット端末よりも情報へのアクセシビリティが大幅に向上するとしており、同社では、スキンエレクトロニクスの実用化検証を近々開始する。
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