米司法省が、1990年代以降オンラインプラットフォームに与えられてきた法的保護を縮小し、サイト運営者に対し、コンテンツを管理する上で一層慎重に対応するよう求める法改正を提案した。Donald Trump米大統領は5月末、ソーシャルメディア企業を標的とした大統領令に署名していた。
司法省による提案は米国時間6月17日に発表されたが、The Wall Street Journal(WSJ)がいち早く報じていた。 Trump大統領が5月に署名した大統領令は、1996年に制定された連邦通信品位法(Communications Decency Act:CDA)第230項の無効または制限を米連邦通信委員会(FCC)に求めるよう、商務省に指示するものだ。第230項は、ユーザーが投稿したコンテンツに対する法的責任から、オンラインプラットフォームを保護している。
司法省が提案した法改正は、連邦議会の承認を必要とするものの、さまざまな状況でハイテク企業の免責特権を剥奪することになる可能性がある。たとえば、違法薬物の販売、サイバーストーキング、人身売買、児童に対する性的搾取、テロなどの行為をプラットフォームが助長することになった場合、そのプラットフォームは法的保護を受けられなくなるかもしれない。
William Barr司法長官は今回の改訂について、オンラインプラットフォームに対し、「活気あるオープンで競争的なインターネットを維持しながら、非合法的で搾取的なコンテンツに」適切に対処することを保証するよう促すものだとしている。
WSJの報道によれば、今回の司法省の提案では、CDAのもとで認められていたソーシャルメディア企業への法的保護が、撤廃の対象になるという。CDAの第230項は、オンラインでの言論の自由を守る上で最も重要な法律とみなされている。実質的に、ユーザーが生成するコンテンツをホスティングしている企業が、自社のサービスで投稿されたコンテンツを巡る訴訟から免責される根拠となっている。
この法律は、AT&T、Comcast、Verizonといったインターネットサービスプロバイダーだけでなく、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアプラットフォームも保護している。また、この法律が提供する包括的な保護のおかげで、ソーシャルメディアプラットフォームは、コンテンツを制限する方法や対象を自社で選択することが認められている。
6月に入り、非営利団体のセンター・フォー・デモクラシー&テクノロジー(CDT)は、この大統領令が言論の自由を保護する米国憲法修正第1条に違反しているとして、Trump氏を提訴した。
米CNETは司法省にコメントを求めたが、回答は得られていない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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