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テレワークにこそ雑談を--アイデアを生むための制度「フィーカ」とは?

角 勝(フィラメントCEO)2020年06月08日 08時00分
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 テレコラボを実践していくうえで、まず欠かせないのが「リモートトラスト」。つまり、リモートの環境でいかに相手からの信用を得るか、という課題です。

 先日、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄先生が「角さんの『雑談は未来の可能性の塊』って話、いろんなところでお伝えしてますよ」とおっしゃってくださいました。入山先生のラジオ番組で僕がお話しした内容が印象に残ったそうで、大変光栄に思っています。

 テレワークというワークスタイルは喫緊の業務をこなすには思いのほか適していた反面、明確な目的のないコミュニケーションはとりにくくなります。このあたりは前回ふれました。

 「目的のないコミュニケーション」は企業活動にとって実はとても大事です。なぜなら「すでに目的がある状態」から新しい目的やアイデアは生まれませんから。フィラメントで企画やアイデアが生まれるパターンはだいたいこの下の図のような感じです。

 
 

 個人が蓄積した「雑念」が複数名の会話からなる「雑談」の中で解放され、そのうちいくつかは目的を持つ「企画」へと形成され、それがタスクに分解されて個人が「実行」するというのが定番のフロー。しかし、テレワークだと図の右上の「雑談」がないためにそのループが途切れてしまうのです。

 この対応策として弊社で導入したのが、スウェーデン語でコーヒーブレイクを意味する「フィーカ」という制度。あえて目的を設定しない、社内の「公式雑談タイム」です。このフィーカを設けたことで、日々雑談が盛り上がり、短い時間にいくつもの企画が生まれました。その1つが「テレワークについてのオンラインアンケート」の実施です。

 テレワークをメインテーマに自分たちが面白いと思えること、知りたいことについて、いくつかオンラインアンケートを実施し、そのうち「テレワークで重宝するものは何か?」というアンケート結果の一部は、日経BP社から発売された「テレワーク大全」の中にも収録されることとなりました。

 このようにフィーカは当初、とてもよく機能しましたが、リモートの時間が長くなると、社内だけの閉じた雑談では会話内容が固定化し、徐々に斬新な発想が生まれにくくなってきます。これは前回も書いた「ランダムな出会い」が枯渇するためです。

 このランダムな出会いを増やすため、最近はもともとつながりのある社外のゲストをフィーカにお招きするようにアレンジを加えています。お招きした方は皆さん面白がって参加をご快諾いただき、フレッシュな雑談を楽しむ機会となっています。今のところ参加率100%です。

 
 

 入山先生にもフィーカにいらしていただき、「リモート環境での信頼関係(リモートトラスト)をつくるには?」という話題で盛り上がりました。テレワークが長く続くと、一度も対面で会ってないのにやたらと仲良くなれるということも出てきます。事実、入山先生と僕はリアルでは一度も会ったことがないのですが、お互いに信頼関係が築けているのはなんとなく伝わります。

 それがなぜなのか、誰でも再現可能なことなのか、だとすればその条件は何なのか。そういうことが知りたくなったのです。ディスカッションの結果、3つのポイントがありそうだという結論にいきあたりました。

 それは

(1)信頼できる人物からの紹介であること
(2)第三者的な情報源があり、その納得性が高いこと
(3)相手の立場を慮るスマートな優しさが感じられること

 これらの条件の重なりがあるとリモートトラストは築きやすくなるのではないか、と。上記の3項目は、もちろんコロナ以前から重要ではありましたが、フルリモートな状態では、新たな出会いの機会を得ることが困難となるため、その重要度が著しく高まっていると感じます。

 なぜか?続きは次回詳しくお話ししたいと思います。

連載第6回に続く

角 勝

株式会社フィラメント代表取締役CEO。

関西学院大学卒業後、1995年、大阪市に入庁。2012年から大阪市の共創スペース「大阪イノベーションハブ」の設立準備と企画運営を担当し、その発展に尽力。2015年、独立しフィラメントを設立。以降、新規事業開発支援のスペシャリストとして、主に大企業に対し事業アイデア創発から事業化まで幅広くサポートしている。様々な産業を横断する幅広い知見と人脈を武器に、オープンイノベーションを実践、追求している。自社では以前よりリモートワークを積極活用し、設備面だけでなく心理面も重視した働き方を推進中。

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