コロナ時代の「ニューノーマル」を共創--京急電鉄がアクセラレータープログラム第3期 - (page 2)

　Carstayは、車中泊可能なキャンピングカーやバンのカーシェア、車中泊可能なスペースシェアの検索・予約・決済サービスを提供する。京急が三浦半島に持つアセットや強固なローカルネットワークを活用して、三密を避けたキャンピングカーやバンでの「三浦遊び」の実証実験を行う。三浦クルマ旅での取得データを活用し、中長期的にはバンを活用したワーケーションなどの「モビリティ×観光×◯◯」の共創や、三浦半島におけるMaaSの社会実装を狙う。

キャンピングカー/バンの活用イメージ

　SEQSENSEは、独自の3D LIDAR（特許取得）と自律移動システムを搭載した警備ロボットSQ-2や関連製品を開発製造している。京急とは、短期的にはオフィスビルや商業施設への導入で警備の効率化を図るほか、長期的には京急グループスマートシティ構想と併せて、清掃、屋内運送、農業、病院などの多角展開を図る。自律移動と空間認識能力で、空間自体のDX化を目指す。

自律移動警備ロボット「SQ-2」

　シナスタジアは、xR技術を活用した新しい移動体験を創出するシステム「RideVision」を開発している。RideVisionのキットはどんな車両にも後付けで搭載でき、乗り物の移動中にその移動に連動したVR・AR体験が可能になる。旅客観光市場ではしばらく供給過多が続くといわれるなか、xR技術を活用して価値の高い旅客サービスを、地域に強く結びついたリアル戦略に強みを持つ京急とともに取り組むという。

「RideVision」活用例

　JX通信社は、自然言語処理や機械学習などを用いた自動抽出・解析技術で、報道機関および一般消費者へスピーディに情報配信する“報道機関”。B2BリスクSaaSの「FASTALERT」、B2Cニュース速報アプリ「NewsDigest」を提供している。京急が保有する生活データに場所情報を付加し、生活圏内にいるユーザーへのプッシュ通知や、京急グループの駅・マンション・百貨店などのチャネルを通じて、ハイパーローカルかつリアルタイムな情報提供を図る。

「FASTALERT」（左）と「NewsDiges」（右）

　scheme vergeは、MaaSを基盤とした旅程作成・予約アプリ、事前決済・簡易認証プラットフォームを開発している。協業では、京急の三浦Cocoonと同社の体験志向型MaaSのHoraiを連携させた、ローカル特化の観光プラットフォーム構築事業を行う。取得したデータをローカル事業者へ還元し、より高収益な観光開発につなげることで、その先にはデータドリブンな都市開発、都市近郊の新たなライフスタイル実現を見据える。

ナビゲーションアプリ「Horai」

　Mira Roboticsは、ビルメンテナンス向けアバターロボット「ugo」を手がける。ugoは、LiDAR搭載で定型ルートを自律移動できるほか、単腕1kg持てる軽作業が可能な双腕を備え、AIによる学習機能で定型業務の自動化なども図れる。京急とは、警備を中心とした案内や施錠確認などのマルチタスク実装を狙うほか、withコロナでは双腕を生かしてUV-C（紫外線）照射で人が触れる部位を除菌するといった作業も視野に入れる。

インターネット経由で遠隔操作も可能な「ugo」

　Liberawareは、狭小空間で点検・警備・計測を行う産業用小型ドローン「IBIS」の開発と提供を手がける。ハードウェア、アプリケーション、制御といった、ドローンに必要な全ての技術を自社でカバーする、国産ドローンメーカーだ。京急との協業では、撮影による設備点検から実証実験を開始し、紙の図面のCAD、BIM/CIM化、人工知能を活用した異常箇所の自動アラートや設備修繕の自動予測を図り、設備のDXと設備管理業務の安全性と生産性向上を目指す。

産業用小型ドローン「IBIS」

　自律移動型ロボットやMaaS事業においては複数企業が参加するが、京急の橋下氏は「それぞれの強みが異なる」と説明した。今後は、5月から9月を実証実験期間とし、9月上旬には成果を発表。その後、事業共創の実現を目指す予定だ。