ミネソタ州の黒人男性George Floydさんが警官による拘束中に死亡したことに対し、抗議運動が広がっている。Donald Trump米大統領がこれを受け、抗議する「悪党」を州兵が射殺するだろうと威嚇したように受け取れる投稿を行った。Facebookの最高経営責任者(CEO)を務めるMark Zuckerberg氏は、この投稿に対応するよう社内外から圧力を受け、米国時間5月29日に意見を表明した。
Floyd氏の死に激怒した抗議者らが28日に警察署を放火した直後、Trump大統領はTwitter、Facebook、Instagramに「略奪が始まる時、発砲が始まる」と投稿した。20世紀後半にアラバマ州知事を務めた人種分離主義者のGeorge Wallace氏がかつて用いたこの表現は、抗議者に対して警察が暴力をふるうことへの容認と見なされている。Trump大統領が投稿してからTwitterは数時間以内に対応し、「暴力の賛美」についての同社のルールに違反しているという警告を添えて非表示にした。警告部分には、ユーザーがクリックすればツイートを閲覧可能になる「表示」ボタンも含まれる。
しかし、FacebookとInstagramでは投稿が残されたままとなっており、本稿掲載時点で計76万件を超える「いいね」がつき、Facebookの投稿は7万回以上共有されている。Zuckerberg氏は29日、自身のFacebookページで自らの判断について釈明し、この件について自身のチームと議論した結果、投稿をそのまま表示することにしたと説明した。
Zuckerberg氏はFacebookへの投稿でこう述べた。「大統領の投稿を当社が放置していることに、多くの人が怒っているのは私も承知している。だが、当社の立場は、明確なポリシーに書かれている特定の害や危険の差し迫ったリスクをもたらすのでない限り、できるだけ幅広い表現を可能にすべきだというものだ。(中略)今回の投稿には、問題のある歴史的発言への言及があるが、そのまま残しておくことに決めた。なぜなら、州兵への言及があれば私たちは州の行動を警戒するため、当社は政府が力の行使を計画しているのかを人々が知る必要があると考えるからだ」
同氏は「これらのポリシーについて説明するために、本日ホワイトハウスとも連絡を取り合っている」とも述べた。
Trump氏の投稿を削除しない姿勢に対し、一部のFacebook従業員が抗議したことが報じられている。また、自社が行動を起こさないことを弁明するZuckerberg氏の投稿は、一部のアナリストらにも不評だった。
ただしZuckerberg氏は、投稿の中でそうした反応も予測していた。「人はどこに線を引くべきかに賛成したり反対したりできる。だが、当社の全体的な理念は、こうした議論をオープンにするほうが良く、利害が非常に大きい場合はなおさらだというものであり、そのことを皆に理解してほしいと願う。私は、この件に関する大統領の表現に強く反対するが、人々が自らこれを閲覧できてしかるべきだとも考える。なぜなら、つまるところ、権力の座にある者の説明責任は、その発言がオープンに精査される場合にしか実現しないからだ」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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