新型コロナウイルス関連

ソニー、エレキ分野で新型コロナウイルスの影響大--PS5年末発売は予定通り

 ソニーは5月13日、2020年3月期(2019年4月~2020年3月)連結業績を発表した。売上高は前年度比5%減の8兆2599億円、営業利益は同488億円減少し、8455億円の減収減益となった。2月に営業利益において、400億円の上方修正を発表していたが、新型コロナウイルス感染拡大により、それを上回る規模の影響が出たとした。

2019年度連結業績
2019年度連結業績
2019年度第4四半期連結業績
2019年度第4四半期連結業績

 税引前利益は同21%減の7995億円、当期純利益は同36%減の5822億円。イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野などで増収、増益になったものの、ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野で大幅な減収、減益となった。

 ソニー 専務CFOの十時裕樹氏は「新型コロナについては、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)分野が最も早くから影響を受けた。ほかの分野も影響は拡大すると見ている」とコメントした。

ソニー 専務CFOの十時裕樹氏(2月の決算発表時に撮影)
ソニー 専務CFOの十時裕樹氏(2月の決算発表時に撮影)

 G&NS分野は「PlayStation 4」ハードウェア、ゲームソフトウェアの減収などにより、売上高は同14%減の1兆9776億円、営業利益は727億円減収の2384億円と大幅な減収減益となった。在宅時間の増加により、ネットワークサービス「PlayStation Plus」は増収となっており、「プレイ時間はクリスマス時期の1.5倍になるなど大きく伸びている。会員数も3月以降大幅に増加した」(十時氏)と説明した。

 年末に発売を控える「PlayStation 5」は、「当初の予定通り。在宅勤務や海外渡航制限などを受け、一部検証作業や生産ラインの確認が必要になっているが、対策を講じており、遅滞なく準備を進めている」(十時氏)とした。

 音楽分野では、売上高が同5%増収の8499億円となったものの、営業利益は901億円減の1423億円と大幅減益。ストリーミング配信の売上増加などによる音楽制作などは増収に結びついたが、モバイル向けゲームアプリ「Fate/Grand Order」の減収などによる映像メディアプラットフォームの減収が響いた。

 新型コロナウイルスの感染拡大により、新曲のリリースが延期になったほか、外出制限にともなうCDの販売減、イベントの延期や中止による興行や物販も減少するなどの影響が出ている。

 映画分野は、売上高が同3%増の1兆119億円、営業利益は同136億円増の682億円の増収増益。全世界で劇場興行収入が増加したほか、テレビ番組作品のライセンス収入も増え、増収に結びついた。ただし、現在は映画館の閉鎖や製作遅延による作品公開の延期を受け、劇場興行収入をはじめとする収益は減少。テレビ番組制作への影響による納入の遅延、広告活動縮小による、メディアネットワークの広告収入の減少など、新型コロナウイルスの影響は大きい。ただし、映画作品のデジタル販売は好調とした。

 スマートフォンとテレビの販売台数が減少したEP&S分野は、売上高が同14%減の1兆9913億円となったが、モバイル・コミュニケーションにおけるオペレーション費用の削減などにより、営業利益は同108億円増益の873億円の減収増益。

 「新型コロナウイルスの影響が最も大きい事業。製造事業所への影響による供給不足や部品供給不足により一部製品の生産に遅延が出ている。販売店舗の閉鎖・休業により、店舗売上も大幅に減少した。地域別に見ると現時点では欧州市場の悪化が顕著だ。カメラの需要も大幅に縮小しており、この影響は長引く可能性が懸念される」(十時氏)と厳しい現状を説明した。

 モバイル機器向けイメージセンサーが大幅な増収となったI&SS分野は、売上高が同22%増の1兆706億円、営業利益は917億円増の2356億円。「旺盛な需要を受け、イメージセンサーは高付加価値モデルへのシフトが加速。新製品の投入などポジティブな要因もあり、期初予想をはるかに上回った。製造事業者は現在通常通り操業しており、顧客のサプライチェーンも回復基調にあるが、最終製品であるスマートフォン市場については減速を注視している」と慎重な姿勢を見せた。

 金融分野は、売上高が同2%増の1兆3077億円、営業利益は同319億円減の1296億円。ソニー生命で対面での営業活動が停止となり、新規契約の獲得が減少しているという。

2019年度第4四半期セグメント別業績
2019年度第4四半期セグメント別業績
新型コロナウイルス感染拡大の営業利益への影響額の試算
新型コロナウイルス感染拡大の営業利益への影響額の試算

 ソニーでは、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、2021年3月期の連結見通しを未定としており、8月上旬に実施する予定の2021年3月期第1四半期の決算発表時に発表する予定とのこと。十時氏は「今後経済が悪化しても安定して、事業活動を十分に行える流動性は確保している。配当を安定的引き上げる方針に変更はない。アフターコロナ後の成長戦略に対し投資を積極的に検討できるポジションにいたいと考えている」とした。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]