スマートフォンネイティブが見ている世界

休校で増える10代の「TikTok」投稿--コロナ対策で活用する自治体も

 モバイルアプリ動向調査会社SensorTowerの4月の発表によると、動画アプリ「TikTok」はWhatsApp、Instagram、Messengerに続いて、2014年1月以降にダウンロード数20億回を突破した最初のアプリとなった。15億回突破からわずか5カ月後のことだ。

 実際、TesTeeの「コロナウイルスの影響に関する調査2 行動編」(2020年4月)によると、利用が増えたYouTube以外の動画サービスで、「TikTok」は中学生(58.4%)と高校生(44.7%)で1位となっており、大学生でも21.1%で3位にランクインしている。休校によって在宅時間が伸びるにつれて、若者のTikTok利用が増えているのだ。

 TikTokは、10代たちにどのように利用されているのか。休校期間における10代のTikTokの活用実態について見ていきたい。

「#プランクチャレンジ」で楽しく自宅トレーニング

 テレワークとなり在宅期間が伸びて、運動不足を感じている方は多いだろう。これは子どもたちも同様だ。ある高校生は「学校再開したら制服が着られるか不安。食べて動画見てたら太った」という。「絶対パツパツだから痩せないとまずい」。

 そんな中、TikTokでは自宅トレーニング動画が流行中だ。3月16日〜4月15日の1カ月間で自宅トレーニング動画の再生数は3億回を突破。芸能人やスポーツ選手などを通して人気が広がり、10代の子どもたちにも拡大中なのだ。

 「#プランクチャレンジ」はその1つ。音楽に合わせてプランクのままトレーニングをする動画だが、2人で並んでプランクトレーニングをするものもある。執筆現在「#プランクチャレンジ(#PlankChallenge)」は16億再生まで伸びている。ほかにも、ダンス動画を投稿する「#エアロビチャレンジ」(1億3100万再生)、「#腕立てチャレンジ」(1100万再生)など、自宅トレーニング動画は人気が高い。

「#プランクチャレンジ」
「#プランクチャレンジ」

 前述の高校生は、「真似して動画を撮って友だちに送ったらウケた」と話す。「みんなダイエットとか言って運動動画を撮って投稿してる。学校行くまでに痩せたい」。運動も動画に撮影することで、コミュニケーションにつながったり、楽しくできるようになる。SNSのポジティブな活用法の1つと言えるだろう。

「#休校チャレンジ」で動画投稿が増加

 3月初旬には、中高生の間で「#休校チャレンジ」が流行した。映像作家で人気TikTokerのしんのすけさんが考えた企画で、学生を対象として「自分」をテーマに家の中で撮影して動画を投稿するというものだ。

 この企画には、高校生や大学生などから8000件以上の投稿が集まり、7400万回以上再生される人気となった。動画の種類も、ダンス動画、歌動画、イラスト動画など様々なものが集まった。このような企画をきっかけに初めて投稿したユーザーや、投稿によって数万人以上フォロワーが増えたユーザーもおり、突然の休校で行き場のない思いを表現する場として機能したようだ。その後も「#休校チャレンジGW」などの企画が開催されている。

「#休校チャレンジ」
「#休校チャレンジ」

若者にリーチする場として機能も

 10代に人気の高いTikTokは、学生が活用するだけでなく、学生たちにリーチする場としても注目されている。たとえば、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するためには、手洗いが一番と言われている。Dettol Indiaの「#Handwashchallenge」(1010億再生)、ミューズの「#手洗いチャレンジ」(7300万回再生)など、楽しんで手洗いの正しい方法と大切さを伝える動画企画も人気となっている。

 WHOもTikTokにアカウントを作成しているが、新型コロナウイルス感染拡大防止を訴えて、20秒間の手洗いを呼びかける「セーフ・ハンズ・チャレンジ(Safe Hands Challenge)」を投稿している。ピコ太郎さんなどの著名アカウントがこのハッシュタグで手洗い動画を投稿した結果、「#safehands」は47億回再生「#safehandschallenge」は400億回再生となっている。

(左)WHOもTikTokを活用している、(中央)東京都アカウントでは著名人も発信、(右)「COVIT19」から最新発生情報が得られる
(左)WHOもTikTokを活用している、(中央)東京都アカウントでは著名人も発信、(右)「COVIT19」から最新発生情報が得られる

 東京都や大阪府、広島県など、若者に新型コロナウイルスに関する情報を伝えるためにTikTokアカウントを作成した自治体も少なくない。たとえば東京都の公式アカウントでは、小池百合子都知事やHIKAKINさん、スポーツ選手などがメッセージ動画を発信している。

 現在、TikTokアプリには「COVIT19」マークが表示されており、日本と世界の新型コロナウイルスに関する情報を得ることもできる。新型コロナウイルスは若者の生活にも大きな影響を与えている。しかし若者たちは、自宅にいながらもTikTokなどのSNSを活用してコミュニケーションしたり、発信したりしている。大人も見習うところがあるのではないだろうか。

 

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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