世界のソングライターはまだそれほど心配する必要はないが、人工知能(AI)がその才能と競おうとしている。AI研究組織のOpenAIは先週、歌詞と歌唱付きの楽曲を生成するニューラルネットワーク「Jukebox」を発表した。
OpenAIは120万曲の楽曲と歌詞、メタデータを使ってJukeboxを訓練した。OpenAIは米国時間4月30日のブログ記事で、「メタデータには、アーティスト、アルバムのジャンル、楽曲の制作年、各曲に関連付けられた共通のムードやプレイリストのキーワードが含まれる」と述べた。この記事では、同ニューラルネットへの技術的なアプローチが詳しく説明されている。
Jukeboxは、特定のアーティストのスタイルで楽曲を作成することにより、いわゆる「不気味の谷」の音楽版に足を踏み入れている。OpenAIは聴いてみるに値する楽曲のサンプル集を公開した。Jukeboxが作成したAlan Jacksonの楽曲には、独特なアップテンポのカントリーの趣がある。Katy Perryのポップソングは、リバーブを効かせたドラムが印象に残る感傷的なバラードだ。
はつらつとしたElvis Presley風の楽曲では、冷笑的な歌声が聞こえてきそうだ。OpenAIの研究者たちは、いくつかの歌詞の共同作詞に関与した。Presleyの楽曲は、「From dust we came with humble start/from dirt to lipid to cell to heart」(俺たちは、ほこりから素朴なスタートを切った。泥から脂質、細胞、心臓へ)という一節で始まる。Elvisの楽曲にしては、かなり奇抜である。
人間のソングライターにとって幸いなことに、このAIには、まだいくつかの大きな制限がある。
OpenAIは、「生成された楽曲は局部的に音楽的な一貫性を示し、伝統的なコードのパターンを踏襲しているだけでなく、印象的なソロが含まれることもあるが、繰り返されるコーラスのような、おなじみの大規模な音楽構造はない」と述べた。Jukeboxは印象的なメロディーを作り出す技法をまだ習得していない。
OpenAIは2019年、Microsoftから多額の出資を受けた。サンフランシスコに拠点を置くOpenAIは過去に、恐ろしいほど高性能な文章生成ツールを作成したり、ビデオゲームで人間を打ち負かすシステムを開発したり、ロボットを訓練してルービックキューブを完成させたりした実績がある。OpenAIがトップ40へのチャートインを目指しているとしても不思議はない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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