三浦崇宏氏ら率いる「GO」がVC事業に参入--コロナ禍の今、立ち上げた理由を聞く

 The Breakthrough Company GOは4月23日、スタートアップ投資ファンド「GO FUND, LLP(The Breakthrough Partners GO FUND)」を設立したと発表した。ベンチャーキャピタル事業を手掛けるクリエイティブカンパニーはGOが国内初としている。

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「GO FUND」主要メンバー

 GO FUNDは、シードからレイターステージのスタートアップを中心に出資。投資先企業の成長ステージに合わせて、GO所属のクリエイターが適切なマーケティング、ブランディングを無償で支援するほか、GOが持つ既存クライアントとの業務提携も提案可能という、新しい切り口のVCを描く。

 支援内容はステージによって分かれており、シードからミドルステージまでのスタートアップに対しては、社会からの期待値を高め、事業価値を正しく世の中に伝えるブランディングに加え、PR支援や、事業内容プレゼンテーションのブラッシュアップなどもサポートする。レイターステージでは、こうした支援に加えて、テレビCMなどを活用したマスマーケティング戦略の立案とクリエイティブ制作を担う。

 また、すべての投資先に対して、GOのナレッジを提供するキャンプを定期的に開催。経営者やマーケティング責任者のスキル向上をバックアップする。業務提携については、GOがブランディングやPRを担当する国内インフラ企業、メガベンチャー、メディアなどとの提携を支援できるという。

 ファンド規模は10億円程度を想定しており、すでにファーストクローズは完了。山口フィナンシャルグループ、FFGベンチャービジネスパートナーズなどが名を連ねる。

なぜ、このタイミングでVC事業を始めたのか

 ファンドを開始するにあたり、GO FUND代表パートナーの三浦崇宏氏、小池藍氏にコメントを取った。なぜ、このタイミングでVC事業を始めたのか。また、新型コロナウイルスで生活・社会情勢が日々移りゆく中で、どう対応していけば良いのだろうか。

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(左から)GO FUND代表パートナーの三浦崇宏氏、小池藍氏

――このタイミングでファンドを組成した理由は何でしょうか。

小池氏:ファンドのローンチは2019年から準備・予定してきたものですが、直近の新型コロナウイルスの混乱の中で、ローンチを延期するかの議論は少しありました。ただ、この状況下でもスタートアップは変わらず生きようと戦っています。我々は、挑戦するスタートアップをサポートすることをミッションに掲げています。今こそ、力を発揮するべきという想いの方が大きく、予定通りのこのタイミングでの組成を実行しました。

――どのようなスタートアップに投資する予定ですか。

小池氏:大きなチャレンジで世の中の変革者となる方々とご一緒したいと思っています。シード・アーリーが中心となりますが、業種領域・顧客属性などでの限定はしません。GO FUNDは出資をしつつ、同時にクリエイティブ・PRでのサポートを提供するという特徴があるVCなので、それがより効果的に事業に活きるスタートアップとご一緒したいと考えています。

――新型コロナウイルスでスタートアップの経営状況は大きく変化しています。今回のファンドで支える部分があるとすればどういったところでしょうか。

小池氏:出資による資金協力は勿論です。加えて、GO FUNDの強みは社会視点で企画を考えることができるクリエイターが一緒にサポートさせて頂くという点です。ですので、この時世における適切な企業の行動・発信・事業の動かし方などの相談に乗り、アドバイス、また、一緒に行動をすることで支えていきたいと思います。

――今回は10億円規模のファンドとのことですが、今後も組成する計画はあるのでしょうか。また、スタートアップに対しての支援はファンド以外にも何か検討していますか?

小池氏:今回の1号ファンドをきちんと運用し、2号、3号と拡大していきたいと考えています。そのためにも目先のことだけでなく、長期の視点で継続的なお付き合いと貢献をスタートアップ、また、他の投資家の皆様に行っていきたいと思っています。

――新型コロナで生活・社会が一変しました。GOとしてはこの状況をどう捉えているのでしょうか。そして、どのように変化の波に乗っていく必要があると考えますか。

三浦氏:まず、この状況をどう捉えているのか。

 これについては、今回のコロナ危機を矮小化して捉えてはいけない。一時的な緊急避難の状況ではなく、不可逆的な社会環境の変化が、コロナをきっかけに加速した状況である。そういう意味では、アフターコロナという言い方よりも、WITHコロナという言い方の方が正しい。

 我々は、コロナ的なグローバルで、あらゆる人に平等に訪れる、ある意味で民主的な危機と、乗り越えるのではなく、共生して行く未来を生きることになる。想定される変化を挙げれば枚挙にいとまがない。

 都市への密集から開疎化が進むだろう。豊かさの条件として、便利・豪華を追求してきたが、そこに衛生という重要な価値基準が加わるだろう。出勤退勤、そしてオフィスの価値や必要性は減り、同時に自宅の価値が高まる。それは家族や趣味の価値が高まるということでもある。単一的なコミュニティでのヒエラルキーを追い求めるよりも、複数の価値観を共有するコミュニティに所属することが重要になる。

 そもそもこれから先、8割の収入でいいから、6割の労働時間にしたいという人が増えるだろう。だからこそ、変化の波に乗って行くという考え方では心もとない。変化は予想もできないし、無限に拡散し続けて行くからだ。

 我々の答えは、変化を起こす側に居続けるということだ。「踊らされるな、自ら踊れ」という言葉もある。だからこそ、この変化の時代に生き残る答えの一つが、GO FUNDなのだ。スタートアップを全力で支援する。これは変化を起こす側に立ち続けるということなのだ。

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