新型コロナウイルスの感染経路は、テストやデータが限られているために依然として比較的見えにくく、追跡が難しいままだ。そこで研究者らは、Google検索のデータを利用することで、このウイルスおよびウイルスが引き起こす呼吸器疾患(COVID-19)や、その症状、その他の影響について知見を得ようとしている。
あるデータサイエンティストは、膨大な数の検索クエリの中に埋もれていたCOVID-19の新たな症状のエビデンスを発見したと述べている。また、市中感染が実際にどれほど広がっているかを明らかにするためのモデルに取り組んでいる研究チームもある。
Microsoft、米ハーバード大学メディカルスクール(医科大学院)、英保健省の公衆衛生執行機関Public Health England、英ユニバーシティカレッジロンドン(UCL)の研究チームは、機械学習とGoogle検索データを利用して、COVID-19の広がりを追跡したいと考えている。
プロジェクトリーダーを務めるUCLのVasileios Lampos氏は、筆者の取材に対し、「私はこれを長期のプロジェクトと考えており、最初そして願わくは最後となるパンデミック(世界的大流行)の波が終息するまでは、少なくとも続くだろう」と述べた。
Lampos氏によると、プロジェクトは進行中で(研究報告は「GitHub」上で適宜更新されている)、チームの観察結果を検証するにはさらに多くのデータが必要となるが、検索データを解析する機械学習モデルによって、特定の国などの人口に占めるCOVID-19の感染率を予測できるようになることを目指しているという。
基本的な考え方は、ある人口の中でCOVID-19の感染拡大が起きた場合、感染者は自分が感じている症状についてGoogle検索するようになるというものだ。もちろん感染していない人でも、ニュースで知った症状について検索する可能性がある。従ってLampos氏らが構築しているモデルでは、この問題や他の複雑な要素を制御することを目指している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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