報告会の後半では、神戸市の久元市長とルワンダのプログラムに同行した3名の記者によるパネルディスカッションが開かれた。久元市長はルワンダでプログラムを実施した背景として、神戸市が2016年からルワンダとの経済交流を進めていることをあげた。
2013年に横浜市で開催された「第5回 アフリカ開発会議(TICAD V)」で政府が提唱したABEイニシアティブに基づき、神戸情報大学院大学がルワンダからの留学生を数多く受け入れ、IT人材交流が始まったのがきっかけだという。市長自身も2016年5月にルワンダを訪問しており、「双方の未来につながるプログラムにしたい」と話す。
同行したモバイル決済ジャーナリストの鈴木淳也氏は、首都キガリは携帯電話の普及率は全体で80%と、アフリカの中ではかなり高く、フィーチャーフォンとスマートフォンの割合も半々ぐらいではないかと分析。「公共交通はICカードも使えるなどキャッシュレス化も進んでいる」と実態を紹介した。
CNET Japan編集長の藤井涼は、ルワンダで2019年10月から販売されているアフリカ初の国産スマートフォン「MaraPhone」や、タクシー配車や宅配サービスなどの体験談を紹介。
4Gエリアでも実際には3Gしかつながらないエリアが多かったり、配車アプリの運転手が地図が読めないといった問題はある一方で、宅配アプリは料理のほか食品やパーティ用のお酒にも対応しているなど、「さまざまなところでITの活用が進んでいることを感じた」と話す。
アフリカ在住経験があるジャーナリストの小島寛明氏は、ルワンダのIT化は通信インフラも含めて発展途上で、関連ビジネスも国の支援で何とか運用できているのではないかと指摘する。
ただし、ドローンで血液を届ける米国の医療スタートアップ「Zipline(ジップライン)」は他のアフリカ地域にもサービスを拡大し、血液運搬以外にも応用できるなどの可能性もあり、「名実ともに大きく成長するのはこれからではないか」と期待を寄せた。
久元市長は、都市と農村の生活格差について触れ、IT以外のビジネスプランも含めていろいろと実験してほしいとコメント。「プログラムをきっかけに今後はルワンダと神戸のビジネスがマッチングできることも期待している」と参加者にエールを送り、報告会を締めくくった。
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