欧州各国の研究者と科学者が、欧州連合(EU)の厳しいプライバシー規制に違反することなく新型コロナウイルスの感染経路を追跡できるアプリを、共同で開発している。
Pan-European Privacy Preserving Proximity Tracing(PEPP-PT)は現地時間4月1日、EUの一般データ保護規則(GDPR)に準拠しながら接触者を追跡できるアプリのコードを公開することを明らかにした。このコードは、PEPP-PTプロジェクトの一環として、8カ国にまたがる130名の学術関係者が共同で開発したもので、デバイス間でやり取りされるBluetoothの信号を解析して人々の接触状況を追跡する。
接触者の追跡は、感染症のまん延を防ぐために用いられる一般的な手法だ。以前にも、たとえばエボラ出血熱の感染拡大を管理するなどの目的で、この手法が用いられたことがある。
これまで、接触者の追跡は感染者への面談によって行われてきたが、テクノロジーによる追跡機能を利用すれば、その作業をはるかに簡単かつより正確に行える可能性がある。ただし、人々がどこに行って誰と接触したのかを記録することは監視行為とみなされ、プライバシー法違反に問われかねないという問題点がある。
欧州のPEPP-PTのチームは、Bluetoothの信号を利用し、接触者の情報を個人のスマートフォンにローカルで記録するという分散的な手法なら、こうしたプライバシーの問題は起こらないと考えている。新型コロナウイルスへの感染が確認された人と濃厚接触していたことがわかったユーザーには、スマートフォンのアプリでそのことが通知されるが、その際に用いられる匿名IDは頻繁に変更される。
英国は現在、同様のアプリを独自に開発しており、現在のロックダウン措置が解除される直前または直後にリリースする計画だ。また、ドイツはPEPP-PTのコードに基づいたアプリをリリースする最初の国の1つになりそうだと、Politicoは報じている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス