複数のIT企業が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と闘う英国の国民保健サービス(NHS)を支援する取り組みを開始する。データを分析することで、人工呼吸器や病床、医師などのリソースが最も必要とされている場所を判断するという。
BBCの報道によると、Amazon.com、Microsoft、Palantir Technologiesに加えて、機械学習と人工知能(AI)を専門に手がける英企業Facultyがこの取り組みに参加するという。
計画では、NHSの電話相談サービス「111」を通じて収集される匿名化されたデータを他のデータソースと組み合わせて、COVID-19の潜在的なホットスポット地域や、次にリソースが必要になる可能性のある場所を判断することを目指す。
Amazon Web Services(AWS)がクラウドコンピューティングリソースを提供する。Microsoftの「Azure」部門は、プロジェクトを支援する「巨大」なデータストアを構築したと伝えられている。
資産家のPeter Thiel氏が共同創業者のビッグデータアナリティクス企業Palantirは、さまざまなデータソースを集約するソフトウェアを提供する。Facultyの関わり方について詳細は不明だが、同社は以前、オンラインやソーシャルネットワーク上にある過激主義者のコンテンツ検出で英内務省と協力した経験がある。
データ分析ソフトウェアを利用するこのプロジェクトの目的は、NHS職員に可能な限り最適な情報を提供するために、さまざまなソースから得たデータを集約するインタラクティブなビジュアルダッシュボードをNHSに提供することだ。
こうしたデータには、どの人工呼吸器がどこで利用されているかや、現在の職員罹患率、利用可能な病床数を含む病院の患者占有率、救急部門の受け入れ可能な人数、COVID-19患者が入院する必要のある期間などが挙げられる。
これらの情報を利用することで、英政府と各病院は、新型コロナウイルスの拡散状況を把握し、ウイルスの感染拡大が予想される地域のリソースを増やし、治療に不可欠な機器を最も必要としている地域で確実に供給できるようになると期待されている。また、リソースや需要、職員の空き状況に基づいて最適な治療を施せる病院に患者を移せるようになると見込まれるという。
このようなプロジェクトはプライバシー上の懸念を引き起こす可能性があるが、BBCの記事によると、NHSは使用するデータについて、いかなる個人にもさかのぼれないようにすること、および新型コロナウイルスの危機が終息すれば記録はすべて破棄されることを保証する意向だという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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