ハードウェアの製品開発からスタートし、現在はMaaSやSaaSの提供へとビジネスを広げている3社。ハードウェアとソフトウェア、WEB系など、文化の違うエンジニアがともに働く上でどのような工夫をしているのか。
WHILLでは当初開発メンバーはハードウェア系エンジニアが中心だったが、現在は自動運転のような高度な開発ができるソフトウェアエンジニアも参画。さらに最近ではMaaSに向けたアプリや管理システム開発のために、「ウェブ系のエンジニアも積極的に採用している」という白井氏。「ウェブ系の開発メンバーにも、2週間に1度はハードを使って開発したソフトウェアをインテグレートする場に参加してもらい、ハードを使って検証することで、チーム全員にハードウェアからウェブまで一貫した開発が必要ということを実感してもらおうとしている」という。
フォトシンスの場合、スマートロックの開発にあたってはハードウェア、ソフトウェアの両方の開発が必要だったため、「文化も両方が融合した状態でスタートした」と河瀬氏。とはいえやはりハード系とウェブ系のエンジニアの間に、文化の違いを感じるところはあったという。
「ハード系のエンジニアはウォーターフォール型の開発に慣れている。仕様をしっかり決めてじっくり開発をしていくスタイルだが、ウェブ系はたとえば2週間に一度機能をアップデートするような、アジャイル型の開発スタイル。同じチームの中でうまくひとつにまとまれるかや、同じ目線、スケジュール感で開発を進めていけるかというところは、すごく苦労した」と語る。
ハードウェアの開発にあたってはウォーターフォール型で取り組む一方、「お客様の声を反映して、アジャイルでどんどんいろんな機能を追加していくフェーズもある」と、河瀬氏。「ただしそれをやり過ぎると、ハードウェアチームとの帳尻が合わなくなるタイミングが、どこかで必ずやってくる。そういうときはソフトウェアチームでもウォーターフォールっぽい感じで、テコ入れするといったこともやってきた」という。
一方、「自分が何も知らなかったから、逆にできたのだと思う。それくらいハードウェアの開発は本当にハード」と話すのは、コンサルティングファーム出身という、ものづくりベンチャーのCEOとしては異色の経歴を持つBONXの宮坂氏。「チーム作りができたのは、何も知らないけど作りたいモノがすごく明確にあったから。それをおもしろいと思ってくれたエンジニアやデザイナーが集まってくれた」とする。
宮坂氏は、以前CNET Japanのインタビューでも「大事なのはハードやソフトという問題ではなく、ビジョン。BONXは、イヤホンだけでもアプリだけでも、やりたいことができず両方を作る形になった。ハードが必要であれば作ればよくて、ハードを作るかどうかが論点ではない。起業家に必要なのは、実現したい体験があるかどうか。BONXが設立から5年生きながらえているのは、ビジョンが明確だから。それに共感する仲間やユーザーが集まってくれたのが、BONXが続いている理由の1つ」と語っている。
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