抑圧的な国に住む人々に検閲で削除や修正の対象となった報道を届ける手段として、人気ゲーム「Minecraft」が利用されることになった。同ゲームでは仮想の世界に入って、「デジタルのレゴ」であらゆるものを組み立てることができる。
報道の自由を擁護する非営利団体「国境なき記者団(RSF)」は、デザインスタジオのBlockWorksと手を組み、発表された国では検閲対象となった記事を保管するゲーム内デジタル図書館「Uncensored Library」を開設した。サウジアラビア政権に批判的な態度を取り、殺害されたWashington PostのコラムニストJamal Khashoggi氏の書いた記事も保管されている。
RSFドイツ代表のChristian Mihr氏は、RSFのウェブサイトへの投稿で、「世界中の多くの国では、情報に自由にアクセスできない」と述べた。「ウェブサイトはブロックされ、独立した新聞は禁止され、報道機関は国家の管理下にある。若者は自分の意見を持てずに大人になる。(中略)Minecraftをメディアとして利用し、若者に独立した情報を提供する」
Mihr氏はBBCのインタビューに対して、Minecraftを選んだのは、世界中に大きく広がって抑圧的な国々からもアクセスでき、検閲に引っかからないからだと述べた。
Mihr氏は「この図書館で取り上げた各国には大きなコミュニティーがある。だから、こうしたアイデアが浮かんだ。検閲の抜け穴だ」とBBCに語った。館内には、エジプト、メキシコ、ロシア、サウジアラビア、ベトナムについてそれぞれの部屋がある。
この図書館は、世界反サイバー検閲デーである3月12日に立ち上げられた。外観が印象的な新古典主義の構造物で、プレイヤーは歩き回って、さまざまな記事を収録した本を閲覧できる。本の内容は変更が不可能だ。
プロジェクトに協力したあるインタラクティブプロデューサーは、Fast Companyの取材に対し、抑圧的な政権が図書館を妨害しようとしても苦労するだろうと語っている。ゲームをホストするサーバーをどこかの政府がハッキングしてみたとしても、他のサーバーが引き継げるので、ネット上には常にMinecraftの世界が存在している。
BBCはMinecraftに入り、図書館の訪問者と話した。図書館はプレーヤーがダウンロード、再アップロードすることが可能であるため、「簡単に複製でき、壊すのは難しい」とこの人物は述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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