物流不動産を手掛けるシーアールイーがクラウドファンディングを開始--不動産投資に新たな選択肢 - (page 2)

顧客との接点を増やし、収益源を多様化したい

 シーアールイーでは、トランクルームなど一部個人向けのサービスも展開しているが、規模は小さい。「個人のお客様との接点が非常に少ない。個人向け事業は売上的な貢献は少ないが、収益源の多様化、ブランディングといった意味からぜひとも獲得したい部分。このあたりもCRE Fundingに期待したい」(亀山氏)と期待するのは資金集めにとどまらない。

 マンションやオフィスビルに比べ、物流不動産という馴染みが薄いジャンルながら「私たちが持つ物流不動産の多くは、オーナーから一括借り上げしているマスターリース。家賃保証をしているため、賃料収入の安定性を確保でき、ファンドに対してメザニンローンの保証をシーアールイーが付けることで、元本毀損リスクを低減できる」(亀山氏)と安定性を打ち出す。

 1号案件の募集金額は1000万円で、予定利回り3%。最低投資額1口2万円以上になる。「不動産投資は長い期間運用することで、一定の収益が得られる」(亀山氏)と話す通り、運用期間は約12カ月を予定する。

「CRE Funding」
「CRE Funding」

 現在の課題は、倉庫不足だ。「取り扱っている倉庫には、郊外の大型と、通販などで購入した品物を各家庭に届けるハブ的な役割を果たす小型があるが、小型の倉庫が圧倒的に足りない。通販ニーズが高まる中、大型倉庫と家庭の間にある中小型は住宅地に近く、それなりの規模が求められるため、供給が難しい状態。今まで倉庫として使っていなかった土地の新たな活用方法としてオーナーの方に提案するなど、積極的に開発し、供給していきたい」と、亀山氏は積極的な姿勢を示す。

 クラウドファンディングの面でも「投資対象として物流不動産は耳慣れないかもしれないが、利回りは3%で、元本は返ってくる。ほかの不動産投資商材と変わらない。個人向けの投資商材のメインとなるのは小型倉庫。ニーズも強く、今後の物流の重要な要素になるので、ユーザーの方の理解を深め、継続的に案件を提供していきたい」(水野氏)とし、倉庫の獲得、運用に力を注ぐ。

 不動産投資対象として一般的な認知度は低い物流不動産だが、大手総合不動産会社も参入しており、業界内に競合は多い。シーアールイーは「競合会社から運用、管理を受注することもあり、一気通貫でできることが強み。そういう意味でも業界内での存在感は発揮できていると思っている」(亀山氏)と話す。

 供給不足になるほどのニーズの高まりを受け、シーアールイーが今後目指す方向は2つある。「国内で立ち上げた倉庫の開発、管理、運用を海外展開していきたい。もう1つは、物流のインフラを広く提供していきたいと思っている。倉庫などハードのアセットに加え、ラックやパレットなど倉庫内で使う機器も提供し、プラスアルファの利用価値を提供したい」(亀山氏)と今後を描く。

 亀山氏は「私たちの仕事は倉庫を持つオーナーの方とそれを使うテナントの方をつなぐこと。このマッチングにより、物流不動産は現在伸び盛りの業界になっている。それだけに投資の選択肢の中に不動産がもっと入ってほしい。投資機会が増えれば、不動産オーナーももっと増える。それが業界の活性化につながる」とし、業界の発展に向けての思いを話した。

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