CVCファンドの成功に必要なこと--NTTドコモ・ベンチャーズが教える戦略 - (page 3)

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CVCファンドが成功するために必要な戦略

 では、どうやってスタートアップとつながっていくのか。稲川氏は、「投資を伴う方法と投資を伴わない方法がある。投資を伴わない方法としては、インキュベータープログラムやアクセラレータープログラム、業務・技術提携がある。投資を伴う方法としては、ジョイントベンチャーを組んでやる方法とスタートアップに投資する方法がある。スタートアップ投資には、VCへのLP出資、直接投資(BS投資)があるが、弊社はCVCファンドによる投資を行っている」と語る。

 稲川氏は、スタートアップ投資の手段をバブルチャートで表わした。「自社寄り目線と他社寄り(スタートアップ)目線がある。ベンチャー企業と直接話せる関係のある方がいいので投資をしている。横軸は直接的関与か間接的関与かで示した。直接的に繋がらないと仕掛けるタイミング逃してしまうので、LP出資ではなくCVCファンドによる投資にしている」(稲川氏)。

スタートアップ投資の手段
スタートアップ投資の手段

 「コミュニティに入ることは楽ではない」と稲川氏は語る。「ディールフローは、著名なVCと情報交換をして良いディールを取る。われわれは国内のみならず、海外の著名なVCともつながりを持って、彼らが投資している先に次のタイミングで一緒に投資するといったことをしている。そうすると、世界の目で見た良いベンチャー企業やスタートアップが引き出せる」(稲川氏)。

 稲川氏は海外のイベントでも率先してスピーカーとして登壇するなど、グローバルに出て行かなければならないという。自社のイベントも積極的に行っており、2020年2月に行った「NTT DOCOMO VENTURES DAY 2020」では来場者数が800名を超えた。

 NTTドコモ・ベンチャーズの投資検討プロセスは、案件起案、資料作り、投資委員会にかけて決裁を行うとなっているが、スピードを上げるために1億円未満のものは稲川氏が独断で決められるようにしている。

 稲川氏はもっとも伝えたいこととして、競争戦略について述べた。「競争戦略を立てることが必要だ。ベンチャー企業と繋がって新規事業を起こすためには、継続するということが重要だ。われわれはファンドを作って投資をすることを12年続けてきた。CVCの運営はハード面とソフト面で考えており、たとえば一人で海外出張に行ってもらうなど、社員のスキルを上げる施策を行っている」(稲川氏)。

 また、成果を出すためには、著名VCと連携をとってより確実な情報を得る、戦略的リターンと財務的リターンのバランスを取る、事業キーマンとなる人などを巻き込む。そして成果が出たら、イベントやプロモーションでアピールする。「この連続で、12年かけて5つのファンドを作ってきた実績がある」と稲川氏は語った。

 「これによって、われわれのレピュテーションが上がっていく。レピュテーションが上がると、インフローが増える。つまりいい話が向こうからやってくるようになる。こういうレピュテーションを作ることで、さらに新しいチャンスを得て、新規事業で何やろうかといったときにアイデアが湧き起こってくる状態が起こる。これを何度も繰り返すと、何かが変わる」と稲川氏はNTTドコモ・ベンチャーズの戦略を解説した。

イノベーションとは企業の競争戦略
イノベーションとは企業の競争戦略

 稲川氏は「2026年にはフィーチャーフォンが終了し、今後はシニアもスマホを持つ。そして動画が当たり前のデジタルネイティブ世代が何を考えるのか。それに対して、何のサービスをいつ誰が行うのか、これをイノベーションと呼ぶ」と語り、「われわれは勇気のあるベンチャーをいち早く支援することでムーブメントを起こす。投資という手段を使って実現したい」と考えを述べた。

 最後に、稲川氏は4つの提言をした。「皆さんもこれらについて会社でディスカッションしてみてほしい。われわれの解答はここ(「イノベーションとは企業の競争戦略」の図)にあると考えている」と述べた。

稲川氏の提言
稲川氏の提言

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