メルカリは2月20日、同社イベント「Mercari Conference 2020」を開催した。このイベントでは、「CONNECT」をコンセプトに、一次流通と二次流通の融合を図る施策を発表した。
今回の施策は、出品や発送の手間を省く取り組みと、メルカリ内の購買データを一次流通側に提供することで、より深いユーザーインサイトを導くデータ連携の大きく2つに分けられる。メルカリにとって重要なKPIはGMV(グローバル流通総額)であり、購入者はかなり増えたとするものの、出品者数を底上げしなければGMVは伸びようがない。そのため、今までメルカリに触れてこなかったユーザー層にもタッチポイントを設けるべく、リアルの施策に重点が置かれている。
現在のメルカリは、月間利用者数1538万人、年間流通総額4900億円超、2020年1月には累計出品数が15億品を超えるマーケットプレイスに成長。しかし、経済産業省の調査によると不用品と呼ばれる年間推定価値は約7.6兆円に上ると言われており、同社取締役でメルカリジャパンCEOの田面木宏尚氏は、この数字を「未知数」と捉え、今回の施策を通して市場の成長に貢献したい考えだ。
リアルでのタッチポイントを増やすべく、メルカリでは初となる実店舗「メルカリステーション」を。2020年春に新宿マルイ本館にオープンする。メルカリステーションでは、出品したい商品の写真撮影、梱包資材の購入と梱包、不明点を相談できるライブチャット、商品を投函するだけで発送できる「メルカリポスト」などの機能のほか、メルカリの使い方を学べる「メルカリ教室」も展開。ステーションでは、受け取りや発送、梱包資材のサポート、梱包作業そのものを売場を経験した丸井社員が代行する。
丸井では、物販中心の“モノを売る店”から、体験を提供する“売らない店”として、リアルとネットを行き来する体験型の店鋪に注力している。イベントに登壇した丸井代表取締役社長の青木正久氏は、「一次流通と二次流通の垣根が非常に低くなっている。今回のメルカリステーションは、アパレルや雑貨などものを売ること主体ではなく、体験やサービスの提供といった、顧客軸でコト消費を喚起し、多くのユーザーに来店してもらう丸井の重要な戦略のひとつ」とし、メルカリとの親和性の高さから出店の運びとなったという。
メルカリでは、新宿マルイ本館以外にも、全国のショッピングモール、商業施設に出店予定。2021年夏までに全国10都市に出店する計画としている。
リアルのタッチポイントでは、ヤマト運輸と連携し、無人で発送できる「メルカリポスト」を設置する。メルカリで商品が売れたあと、アプリに表示されるQRコードをリーダーにかざすと、発送ラベルが印刷される。それを梱包した商品に貼り、そのまま投函するだけで発送完了となる。ポストは、2020年春にメルカリステーション、夏には全国のドコモショップに設置予定。さらに、生活動線や人口密集地を中心に展開し、発送の手間をなるべく抑えたい狙い。
また、パナソニックと機能上位版の「メルカリポストプラス」を開発すると発表。商品を投函するだけのメルカリポストと異なり、商品を置くだけでサイズがわかる自動採寸機能を搭載。さらに、無人レジ機能、顔から年代や性別を認識して、購入者にあったクーポンを提供する機能など、コンビニやスーパーなどへの設置を想定しているという。メルカリでは、メルカリポストとメルカリポストプラス合計で、2023年までに全国5000カ所に設置する予定としている。
さらに、発送作業の軽減を目的に、出品完了した商品を提携倉庫に発送することで、商品が売れるまでの保管と、売れたあとの梱包・発送作業を代行する「あとよろメルカリ便」を発表。荷主、倉庫会社、配送会社をネットワーク化し、従量課金で利用できる物流サービスを提供するオープンロジと、メルカリのAPIを連携することで実現しており、2月より一部ユーザー向けに試験運用を開始する。
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