アマゾンらIT大手による不当な圧力、中小企業が証言--米下院公聴会で

Ben Fox Rubin (CNET News) 翻訳校正: 湯本牧子 高森郁哉 (ガリレオ)2020年01月20日 12時25分

 スマートフォンの背面に吸着させるアクセサリーの開発元PopSocketsの創設者で最高経営責任者(CEO)を務めるDavid Barnett氏は、Amazon.comが、同社のプラットフォームを利用している中小規模の企業にとって、乱暴で、不公正で、思いやりのないパートナーだと述べている。

1月に開催されたCES2020で、ラスベガスコンベンションセンターに設けられたAmazonのブース
1月に開催されたCES2020で、ラスベガスコンベンションセンターに設けられたAmazonのブース
提供:Ben Fox Rubin/CNET

 Barnett氏は米国時間1月17日、自らが何カ月も前から提起してきた偽造品に関する問題が無視されたことや、値下げ圧力を受けたことを理由に、Amazonを批判した。Barnett氏の発言は、米下院司法委員会の独占禁止法、商法、および行政法に関する小委員会で行われた宣誓証言の中で出たものだ。この小委員会は、米国最大規模のテクノロジー各社が持つ過剰になりうる権力を調査するために公聴会を開催してきた。

 コロラド大学のウィットマイヤーコートルームで開催された公聴会で、Barnett氏は議員らに、より低い価格を引き出そうとするAmazonの圧力について「これはきつい、毎週のことなので本当にきつい」と説明した。そうした圧力によって、Barnett氏は結局、Amazonに直接製品を販売する提携関係を終わらせることになった。

 Barnett氏によると、PopSocketsは現在、Amazonのウェブサイトで独自に製品を販売することを禁じられており、収益性の高い直販関係を終了した後は、計り知れないほどの販売機会を失ったという。他の企業は、利益を得るために今後もAmazonの圧力に耐えていくことを選ぶだろう、とBarnett氏は指摘した。

 Amazonは、同様にテクノロジー大手であるFacebook、Google、Appleとともに、ここ1年にわたって議員と規制当局者による厳しい監視に直面してきた。ただしそれ以前は、そうした公職者らはシリコンバレーをはるかに好意的な目で見ていた。しかし現在、公職者らはこれらの企業の増大する市場支配力により競争が阻害されかねないとして、懸念を表明している。

 こうした取り組みは、テクノロジー業界に大きな変化をもたらす可能性がある。大手企業に分割を強要したり、将来の合併を阻止したり、新たな規制を設けて制限したりするかもしれない。公職者らは、革新的な新興企業が繁栄し、活発な競争から顧客が利益を得られるように、こうした取り組みを追求していくと述べている。

 これらのテクノロジー大手は、たとえばAmazonが世界全体の小売業界から見ればそのごく一部を占めているにすぎないように、より広い領域では自身も小さな存在だとして、自らの立場を弁護してきた。

 PopSocketsとの関係について、Amazonの広報担当者は17日、PopSocketsとは直接的な提携が終了した後も偽造品について協力を続けていると述べ、PopSocketsを「貴重な小売ベンダー」と表現した。この広報担当者によると、Amazonは顧客に最適な価格を提示できるよう、一部の人気ブランドには同社に直接販売するよう求めているという。

 均衡を欠いた支配的な取引関係というこのテーマは、公聴会を通じて何度も浮上した。SonosのCEOであるPatrick Spence氏が議員らを前に証言したところによると、Googleは関係の一環としてSonosのイノベーションを制限しようとしたほか、Sonosの今後の製品計画に関する情報を欲しがったという。Sonosは1月7日、ワイヤレススピーカー技術を盗まれたとしてGoogleを提訴している。

 Googleの広報担当者はこれに対し、「Sonosは両社の提携関係について誤解を招く発言をしてきた。われわれの技術やデバイスは独自に設計されたものだ。同社の主張を強く否定し、それに対抗するつもりだ」と述べた。

 TileのゼネラルカウンセルKirsten Daru氏とBasecampの最高技術責任者(CTO)David Heinemeier Hansson氏も同様に不満を訴え、AppleやGoogleなどの大手IT企業が完全に市場を支配しており、事実上これらの企業と連携せずにいることは不可能だと主張した。こうした企業は、有利な地位を利用し、小規模な企業に悪影響を及ぼす恐れのある予想外で不公平な変更を実施すると両氏は述べた。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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