Amazonが「Alexa」対応機器を世界に1億台普及させるのに約4年かかった。しかし、それからわずか1年で、その数字は倍以上に増えた。
Amazonは米国時間1月6日、世界中で顧客の手に渡った「Alexa対応機器は数億台」に上ることを明らかにした。2019年1月に発表した1億台から大幅に増加している。いずれの数字にも、Amazonの「Echo」スピーカーや「Fire」タブレット、「Fire TV」ストリーミングデバイスだけでなく、ウェアラブル端末、テレビ、コンピューターといったサードパーティー製機器が含まれており、Alexaの世界の広がりを示していると言える。
Alexaとスマートホームとの連携も倍近くに増えており、Alexaがスマートホームの制御に使用される回数は、週当たり数億回に上る。
Amazonは、世界最大級の技術見本市「CES 2020」の幕開けに、これらの新たなマイルストーンを発表した。CES 2020で同社は、自動車やテレビ、コネクテッドホーム分野における多くの新たな提携を発表し、Alexaの驚異的な成長を維持していきたい考えだ。
Amazonは秘密主義の傾向があるとされており、同社の成長を示すさらなる詳細な数字は明らかにしていない。それでも、これらの数字は、Alexaが過去5年でどれほど巨大な存在になったかを示している。このデジタルアシスタントは今や、米国で群を抜いて人気の高いスマートホームコントローラーとなっている。Amazonは、GoogleやApple、サムスンなどをはじめとする多くの競合の先を行く存在であり続けるための手段を見出すとともに、Alexaの大きな成長を示す数字を提示していく必要があるだろう。
例えば、Googleはここ数年、CESで存在感を高めている。その主な狙いは、「Googleアシスタント」のさまざまな利点を人々に知ってもらうことにある。
Alexaがすでに9500以上のブランドの10万種類以上のスマートホーム製品に統合されていることを考えると(同社が2019年12月に発表したこの数字も、重要なマイルストーンだ)、Alexaが話しかけるべき製品は、もうスマートなチーズおろし器くらいしか残っていないのではないか、と思う人もいるだろう。それはもっともな疑問である。
Moor Insights & StrategyのアナリストであるPatrick Moorhead氏によると、Amazonはまだ初期の段階にある可能性が高いという。
同氏は「Alexaを10万種類以上の製品に搭載することに成功したAmazonは、大きな進歩を遂げたと私は考えている。しかし、これからの10年間にその数字を10倍に増やすチャンスがある」と電子メールでコメントした。
Alexaの人気に影を落とすかもしれない問題が1つある。プライバシーだ。Amazonや音声アシスタントの開発を手がける他の大手各社は2019年、人間のレビュアーがユーザーの音声の断片を聞いていることをユーザーに知らせていないとして、大きな批判を浴びた。この慣行は広く実施されており、音声サービスの改善のために必要なことだ。しかし、これらの企業の請負業者が人々の性行為の録音音声、銀行や医療に関する個人的な情報を含む音声を耳にしたケースもある。
批判を受けて、AmazonやGoogle、Appleはプライバシー設定を強化した。Amazonのハードウェア開発を率いるDavid Limp氏は12月、消費者のプライバシーのニーズに注力する予定だと述べた。
「プライバシーが問題になるたびに、改善に取り組み続けることがわれわれの責任だと考えている」「その取り組みをやめることは決してない。それが重要だと考える限り、そして、顧客から要望がある限り、われわれはこれらの製品の魅力だけでなく全体的なセキュリティも高める新しい方法の発明に取り組み続ける」(同氏)
同氏は、人間のレビュアーに関する論争の真っ只中でもAmazonのAlexa対応デバイスの売れ行きが落ちていないとしながらも、売れ行きに悪影響が及ぶようになるまでこの問題を悪化させるつもりはないと述べた。
ビデオドアベルを手がけるAmazon傘下のRingも、セキュリティの失態と地元警察との提携に対する批判に直面している。Ringの買収を後悔したかと尋ねられたLimp氏は、「それはない。むしろその逆だ」と即答した。
Limp氏によると、RingはAmazonにとって非常に成功した企業買収であり、同氏はRingの今後の製品を楽しみにしているという。Limp氏とRingのチームは顧客の信頼を極めて真剣に受け止めているため、Ring製品の「安全性をさらに高める」新たな方法の開発に今後も取り組み続けるとした。
Moorhead氏は、Alexaデバイスの好調な売れ行きが続いていることを指摘し、Amazonはこれまでのところ、ほとんどの顧客のプライバシーとセキュリティのニーズに十分に対応していると主張した。しかし、同氏は、「プライバシーとセキュリティは常に動き続ける標的なので、2019年にうまくいったことが今後も完璧にうまくいくとは限らない」とも述べた。したがって、その変化し続ける問題に対処するため、同社は新機能を追加し続けると予想している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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