Qualcommは米国時間12月5日、新しい5G対応チップ「Snapdragon XR2」を発表した。「Oculus Quest」や「Hololens」など、2020年以降に登場するあらゆるヘッドセットに搭載されることになるかもしれない。Qualcommは、仮想現実(VR)に基づくXR2搭載のリファレンスデザインを2020年前半のリリースに向けて準備しているほか、それとは別に、Niantic Labsと共同でスマートメガネのリファレンスデザインを開発するプロジェクトにも取り組んでいる。
Snapdragon XR2は、同社の最新チップ「Snapdragon 865」のVRや拡張現実(AR)に特化したバージョンといえる。グラフィックス性能は、(既に素晴らしい)現行のOculus Questの2倍になる見込みで、ディスプレイ解像度がはるかに高いということは、より明瞭な視界が得られるということだ。網膜レベルのディスプレイとまではいかないが、片目で3K解像度(1度あたり69ピクセル、90Hzで、2880×2880ピクセル)というのは、現行のVR技術と比べて大幅な躍進となる。Qualcommによると、このプロセッサーにより8K動画を60fps、4K動画ならば120fpsで再生できるという。
このチップを搭載すれば、VR/ARヘッドセット上で、6GHz以下の周波数帯とミリ波帯の両方を使用した5G通信も可能だが、それは基本機能というよりはオプションに近い。QualcommでXR事業を統括するHugo Swart氏によると、当面のところ5Gは企業向けの(つまり、より高価な)ヘッドセットで使われる見込みだという。最終的には5GはVRやARを大きく変えるものになるはずだ。
この新しいチップセットの最も突出した特徴は、7基のカメラを同時にサポートする点だ。カメラはVRとARの必須要素で、VRカメラは、ハンドジェスチャーやアイトラッキングなど、視界内の動きのトラッキングに用いられる。
同時に動作できるのは最大で7基だが、最大12基のカメラをXR2搭載のヘッドセットに追加することができ、ヘッドセットは、同時に使用するカメラを切り替えることができると、Swart氏は述べた。
Swart氏によると、複数の企業が既にチップハードウェアの開発を進めており、Snapdragon XR2を搭載するヘッドセットが2020年末までに登場する見込みだという。
筆者は、アバターを用いた職場用コラボレーションアプリを開発するSpatialのニューヨーク本社で、同社のアプリを実行する、極めて初期段階のプロトタイプのデモを見た。
Spatialの最高経営責任者(CEO)で共同創設者のAnand Agarawala氏が、複数のデバイスを用いたコラボレーションデモの使用方法について説明してくれた。そのデモで、筆者はQualcommのXR2搭載ハードウェアを使用し、他のユーザーはOculus Quest、「Hololens 2」、「Android」搭載スマートフォンを使用した。参加者全員が空間を浮遊するアバターとして現れた。そのデモでは、XR2の顔トラッキングやハンドトラッキングはまだ実装されておらず、明らかに初期段階のものだった。しかしディスプレイ解像度がOculus Questよりもはるかにシャープであることは分かった。目の前を泳ぐ仮想のウミガメは極めて鮮明に見えた。バーチャル会議室にあった書類はフォントが小さくてもはるかに読みやすくなっていた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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